メニュー

紅麹コレステヘルプ服用後に報告された腎障害について

[2024.05.11]

 日本腎臓学会では、健康食品「紅麹コレステヘルプ」の摂取後に生じた腎障害に関する症例を収集し、中間報告が会員向けに発表されましたのでお知らせします。(もとのページはこちらです)

 

背景と概要

 これまでに189例の報告を受け、ほとんどの患者さんが「紅麹コレステヘルプ」を服用していました。一部の患者さんは他の健康食品と併用していたことが報告されています。

 年齢層は30歳代から70歳以上まで幅広く、女性が65.3%を占めていました。

 

症状と発症時期

 主な初期症状としては、疲労感、食欲不振が多く、腹部症状、体重減少が見られた方もおられました。尿の異常や血液検査での腎機能障害で体の不調に気づいた方も多くいらっしゃいました。

 服用開始からの期間はさまざまで、1年以上前から数カ月以内までの服用でした。

 

検査データと診断

 主な検査データの異常としては、低カリウム血症、低リン血症、低尿酸血症、代謝性アシドーシスなどが報告されており、これらはFanconi症候群の特徴的な所見と一致しています。その他にも、eGFR低下(29.3 [17.3-42.0] mL/min/1.73m2)、尿蛋白増加(1.66 [0.8-2.7] g/gCr)、尿β2-ミクログロブリン上昇、尿NAG上昇などが見られていました。

 およそ半数の患者さんに腎生検が行われ、尿細管間質性腎炎(43.5%)や尿細管壊死(28.3%)など、尿細管・間質を主体とする病変が確認されました。

 

 Fanconi症候群とは、腎臓の尿細管が正常に機能しない状態です。腎臓は体内の不要な物質をろ過し、尿として排出する役割を担っていますが、Fanconi症候群ではろ過がうまくいかないため、本来体内に再吸収されるべき栄養素やミネラルが尿と一緒に失われてしまいます。その結果、電解質や体内の酸塩基のバランスが崩れるようになります。

 

 

治療と経過

 治療としては、多くの場合ではステロイド治療や電解質の補正が行われていました。透析が必要だった方が189例中7例(3.7%)で、うち5例が透析を離脱する(やめる)ことができたということでした。残り2例は維持透析になる、つまり透析をずっと続けることになったという報告でしたが、1例は以前から糸球体腎炎と診断されており、もう1例は両側水腎症がありました。2例とも維持透析になったことと「紅麹コレステヘルプ」との関連は不明と報告されています。

 腎機能の低下は、被疑剤(今回の場合「紅麹コレステヘルプ」)の中止だけでも改善する傾向にありました。

 

今後の展望

 「紅麹コレステヘルプ」摂取後の腎障害について、接種と腎障害の因果関係のさらなる詳細な科学的検証が必要です。

 

 上記の健康食品摂取後の体調不良などございましたら、かかりつけや近隣の医療機関にご相談ください。また、本件につきましては、今後日本腎臓学会や厚生労働省などから情報発信がなされる可能性があります。最新情報をご確認ください。

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME