インフルエンザが8月に流行入り-当院はワクチン接種を9月下旬に前倒しします
最終更新:2026年9月1日
1.インフルエンザが8月に流行入り―当院では検査の約3割が陽性
インフルエンザは、8月の時点ですでに流行が始まっています。厚生労働省は8月28日、8月17〜23日の1週間の全国の定点当たり報告数(1つの医療機関あたりの平均患者数)が1.11になったと発表しました。流行開始の目安である1.00を超えたのは、感染症法が施行された1999年以降で2番目に早い時期です。
当院でも、8月31日に行ったインフルエンザ検査の陽性率は約3割でした。検査を受けた方のおよそ3人に1人が陽性という状況で、しかも判明したものはすべてA型です。「夏だからインフルエンザではないだろう」という前提は、今年は当てはまりません。
(縦軸:定点当たり報告数〔人〕)
図1 インフルエンザ全国定点当たり報告数の推移(2026年7月13日〜8月23日・週ごと)
出典:厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」、国立健康危機管理研究機構 感染症発生動向調査(IDWR速報データ)をもとに作成
赤い点線が流行開始の目安(1.0)です。8月10〜16日の0.69から、8月17〜23日には1.11へと、1週間で約1.6倍に増えました。この1週間に報告された患者数は、全国で4,094人です。
表1 全国・千葉県・沖縄県の定点当たり報告数(2026年8月10〜23日)
| 地域 | 8月10〜16日 | 8月17〜23日 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 全国 | 0.69 | 1.11 | 目安の1.0を超え、流行入りが発表された。 |
| 千葉県 | 0.84 | 1.80 | 全国平均を上回り、県も流行開始を発表した。 |
| 沖縄県 | 2.89 | 4.43 | 都道府県のなかで最も高い。 |
出典:厚生労働省、千葉県感染症情報センター 感染症週報(速報値)
当院のある千葉県は1.80で、全国平均よりも高い水準です。地域ごとの差については、前回の記事「夏のインフルエンザが増えています-首都圏でも流行開始の水準に」で保健所の管内別にまとめていますので、あわせてご覧ください。
2.9月にインフルエンザはどこまで増える?―学校再開と大人への広がり
増える可能性は高いと考えていますが、どこまで増えるかは今後の数字を見ないとわかりません。
9月は学校や幼稚園・保育園が再開し、子どもどうしが再び毎日集まる時期です。インフルエンザは例年、子どもの集団のなかで広がり、そこから家庭を通じて大人に伝わっていきます。今シーズンは、その「増えやすい条件」が、すでに流行が始まっているところに重なります。
もっとも、今回はすでに大人にも広がっている点が、例年の立ち上がりと違います。千葉県で8月17〜23日に報告された323人の内訳をみると、20歳以上の大人が49%を占めていました。過去2年の流行が始まった時期と比べても、大人の割合が高くなっています。「子どもの病気が、これから大人に来る」のではなく、すでに大人の世代でも動いている、というのが現時点の姿です。
3.南半球の流行を待ってからでは間に合わない
例年、日本の冬の流行を見通すときには、季節が逆になる南半球(4〜9月ごろが流行期)の状況が手がかりにされます。南半球でどの型が、どれくらい流行したかを見て、日本の冬に備える、という考え方です。
ところが2026年は、その順番どおりに進んでいません。南半球の流行期がまだ続いているうちに、日本では8月に流行が立ち上がりました。世界保健機関(WHO)の週報でも、世界全体の陽性率は10%未満と低いものの、ここ数週間は北半球の温帯・亜熱帯の地域で上昇が続き、中米・カリブ海地域、西アフリカ、西アジア・南アジア・東南アジアの一部の国では10%を超えています。日本だけに起きている現象ではありません。
なぜこうなったのかは、まだはっきりとは説明できません。昨シーズン(2025-26年)に世界へ広がったA香港型(H3N2)の「サブクレードK」と呼ばれるグループが、短い期間に集中した流行を起こしたことが関係している可能性はありますが、今夏の流行株の内訳はこれから明らかになっていく段階です。確かなのは、「南半球の流行を見届けてから備える」という例年のやり方では、今年は後手に回るということです。
4.今シーズンのインフルエンザワクチンは3株とも変更されました
今シーズン(2026-27年)のインフルエンザワクチンは、昨シーズンとは中身が違います。含まれる3つの株がすべて入れ替わりました。
表2 インフルエンザHAワクチンの製造株(昨シーズンと今シーズン)
| 型 | 2025-26年(昨シーズン) | 2026-27年(今シーズン) |
|---|---|---|
| A型(H1N1) | A/ビクトリア/4897/2022 | A/スイス/6849/2025 |
| A型(H3N2) | A/パース/722/2024 | A/ミシガン/105/2025 |
| B型 | B/オーストリア/1359417/2021 | B/東京/EIS13-175/2025 |
出典:国立健康危機管理研究機構「インフルエンザワクチン株」
昨シーズンに接種された方から「去年打ったから、今年はいらないのでは」と聞かれることがあります。今シーズンも接種をおすすめします。株が入れ替わっていることに加えて、ワクチンで得られた抵抗力は数か月かけて弱まっていくためです。昨シーズンの接種からは、10〜11か月ほどが経っています。
インフルエンザにかかったあとの抵抗力も同じで、かかった型と近い株にはしばらく効きますが、A型でも別の亜型(H1N1など)やB型、変化した株には十分に働きません。この夏にA型にかかった方も、今シーズンのワクチンは接種の対象になります。
5.インフルエンザワクチンはいつから受けられる?―当院は9月下旬開始の予定
当院では、例年10月1日から始めていたインフルエンザワクチンの接種を、今シーズンは前倒しし、自費(任意接種)については9月下旬の開始を予定しています。流行がすでに始まっているためです。
ワクチンは、接種してから効果が出るまでに約2週間かかります。9月下旬に接種すれば10月上旬から、10月に入ってからの接種では10月下旬からの備えになります。今年の流行の早さを考えると、この2〜3週間の差は小さくありません。
図2 インフルエンザの流行の早さと、ワクチン接種の時期
表3 当院のインフルエンザワクチン接種(2026-27年シーズン)
| 区分 | 自費(任意接種) | 市川市の高齢者定期接種 |
|---|---|---|
| 開始時期 | 9月下旬を予定(ワクチンが入荷次第) | 令和8年10月から |
| 費用 | 3,500円(税込)を予定 | 市の案内による自己負担額 |
| 必要なもの | 不要 | 市から届く予診票(接種券) |
出典:市川市「市川市が実施する予防接種一覧(令和8年度)」
開始日は、ワクチンが入荷したタイミングによって決まります。現時点で「何月何日から」とお約束することができませんが、決まり次第、当院のホームページ・インスタグラム・Xでお知らせします。ご予約や在庫についてのお問い合わせは、開始のお知らせが出てからにしていただけると助かります。
6.インフルエンザについてよくある質問
あります。2026年は8月中に全国が流行開始の目安を超えました。当院でも8月31日の検査で約3割が陽性で、いずれもA型でした。急な高熱と関節や筋肉の痛みがあるときは、この時期でもインフルエンザを考えます。
自費(任意接種)は9月下旬の開始を予定しています。ワクチンの入荷状況によるため、具体的な日付は決まり次第ホームページ・インスタグラム・Xでお知らせします。費用は3,500円(税込)を予定しています。
使えません。市川市の高齢者定期接種は令和8年10月からの実施です。9月中に接種される場合は自費となります。
必要です。今シーズンのワクチンは3つの株がすべて昨シーズンから変更されています。加えて、ワクチンで得た抵抗力は数か月かけて弱まります。毎シーズンの接種をおすすめします。
接種をおすすめします。かかった型と近い株にはしばらく抵抗力が働きますが、A型でも別の亜型(H1N1など)やB型、変化した株には十分に働きません。冬に向けての備えとして、今シーズンのワクチンの対象になります。
2026年は、8月の時点で全国のインフルエンザが流行開始の目安を超えました。千葉県は8月17〜23日で1.80と全国平均より高く、報告の49%は20歳以上の大人です。当院でも8月31日の検査の約3割が陽性で、すべてA型でした。
9月は学校の再開が重なるため、さらに増える可能性が高いと考えています。ワクチンは効果が出るまでに約2週間かかりますので、当院では任意接種を例年より早め、9月下旬の開始を予定しています。開始日はワクチンの入荷状況によるもので、決まり次第ホームページ・インスタグラム・Xでお知らせします。
急な発熱で受診を迷われるときは、熱が出た日を目安にご相談ください。薬は発症からおおよそ48時間以内に飲み始めることで効果が期待できます。発熱の症状での受診は感染症外来からご予約いただけます。
- 厚生労働省「インフルエンザに関する報道発表資料(2026年8月17〜23日)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou_00023.html
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「IDWR速報データ 2026年」 https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/provisional/2026/index.html
- 千葉県感染症情報センター「千葉県結核・感染症週報(2026年8月17〜23日)」 https://www.pref.chiba.lg.jp/eiken/c-idsc/index.html
- 国立健康危機管理研究機構「インフルエンザワクチン株」 https://id-info.jihs.go.jp/immunization/vaccines/influenza/vaccine-strain/index.html
- WHO「Global Respiratory Virus Activity: Weekly Update N° 591(2026年8月3〜9日)」 https://www.who.int/publications/m/item/global-respiratory-virus-activity--weekly-update-n--591
- 市川市「市川市が実施する予防接種一覧(令和8年度)」 https://www.city.ichikawa.lg.jp/page/4638.html
【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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