メキシコでの鳥インフルエンザ死亡例の報告
米国で3例目の鳥インフルエンザA(H5N1)感染確認とメキシコで初の鳥インフルエンザA(H5N2)のヒト感染を確認
2024年5月30日、ミシガン州で3例目の鳥インフルエンザA(H5N1)感染が確認されました。感染者は乳牛農場の労働者で、急性呼吸器症状を示しました。CDCは、感染した動物と接触する人々に対して予防措置と健康観察を推奨していますが、一般の人々への感染リスクは依然として低いとしています。なお、現在のところ、A(H5N1)ウイルスの人から人への感染は確認されていません。このあたりの意義については、過去のブログ記事「アメリカ合衆国における鳥インフルエンザ(H5N1)の感染状況」をご覧ください。
一方、2024年4月24日、メキシコではメキシコ州に住む59歳男性が鳥インフルエンザA(H5N2)ウイルスに感染し死亡しました。これは世界で初めて確認されたA型(H5N2)ウイルスのヒト感染の例です。患者は慢性腎臓病、2型糖尿病の基礎疾患があり、急性症状発症後に入院しましたが、家禽との接触歴はありませんでした。接触者からの二次感染は報告されておらず、患者の住む隣の州では、養鶏場でH5N2の感染が報告されていたようです。
2024年6月上旬の時点でWHOおよびメキシコ保健省(Secretaría de Salud, SSA)は、一般市民へのリスクは低いとしています。患者はもともと基礎疾患があったということですが、アメリカでの3例の報告と異なり、メキシコでの報告は別のウイルスであること、死亡ということは重症化するタイプのウイルスの可能性もありうること、という二つの点に注目したいところです。今回は死亡後2週間程度でH5N2型と同定されたようで、原因ウイルス型の同定や患者との接触者の検査で時間を要していました。メキシコの事例はタイムラグがあっての報告であったので、ヒト―ヒト感染を起こすのかどうか、実際にはH5N2型の感染がすでに起きていてもまだ気づかれていない段階の可能性はないかなど、十分な注意が必要です。
米国とメキシコでの鳥インフルエンザ感染状況から、基本的な感染予防対策を確認しつつ、引き続き鳥インフルエンザの感染状況を随時ご確認されるようにしてください。