首の痛みー亜急性甲状腺炎
2.原因
3.症状
4.診断
5.治療
6.まとめ
亜急性甲状腺炎(英語:Subacute thyroiditis)は、甲状腺に一時的な炎症が起こる病気です。炎症により破壊された甲状腺の組織から甲状腺ホルモンが漏れでて、血液中の甲状腺ホルモンが多くなります。甲状腺ホルモンは新陳代謝やエネルギーの調整を行うためのホルモンであるため、その量が増加しすぎると下記のように全身の症状が現れます。
亜急性甲状腺炎は、30~40歳代の女性に多い病気です。また、人から人へうつることはありません。

亜急性甲状腺炎はかぜのような症状の後に起こることが多いことから、ウイルス感染が関与しているとされています。かぜを起こすウイルスとしては、インフルエンザウイルスやEBウイルス、新型コロナウイルス(SARD-CoV2、COVID-19)などが含まれます。
1)首の痛み・腫れ
甲状腺はどこにあるかというと、首の前面にあります。のどの痛みと表現する方もいらっしゃいますが、首の前側の部分が腫れて痛みます。痛みは耳やあごまで広がることがあります。

2)発熱
発熱を伴うことがあり、微熱から高熱などさまざまです。また、熱が出ない人もいます。
3)甲状腺機能異常
亜急性甲状腺炎では、甲状腺ホルモンが一時的に過剰に分泌される甲状腺機能亢進症の状態となることがあります。この期間、心拍数が増加して動悸を感じたり、汗をかきやすくなったり、手のふるえが見られたり、体がしんどい/だるいなど疲労感や倦怠感が強くなったりすることがあります。しばらくこの期間が続いた後は逆に甲状腺ホルモンの分泌が低下し、甲状腺機能低下症が一時的に起こることもあります。
1)血液検査
血液検査では、甲状腺ホルモンの量や炎症反応(CRP)について調べます。甲状腺機能亢進症の原因として最も多いバセドウ病かどうかを確認するため、甲状腺の自己抗体の検査も血液検査で行うことがあります。
2)超音波検査
エコーを用いて甲状腺の腫大などの異常がないかを確認します。痛みのある箇所に低エコー部分が観察されるのが一般的です。

図1.超音波検査の様子
亜急性甲状腺炎は自然に治ることが多いため、必要がある場合には症状を緩和する治療法が中心です。甲状腺機能亢進症の症状が強い際には、βブロッカー(β遮断薬)という薬を一時的に使うことがあります。また、炎症の程度が強い場合には、副腎皮質ホルモンなどのステロイド薬が使用されることがあります。副腎皮質ホルモンの使用により悪化するような持病がある人にはロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬を処方することがあります。
甲状腺機能亢進状態が数ヶ月間続いた後、甲状腺機能が低下する時期が見られることがあります。その後、自然に甲状腺機能は回復して元通りになりますが、中には回復せず甲状腺機能の低下が続くことがあります。程度によっては、その後甲状腺ホルモン薬(チラーヂンS®)の服用が必要となる方もいます。

亜急性甲状腺炎は一時的な甲状腺の炎症で、適切な治療を受けることで回復できる病気です。甲状腺の腫れや痛みを感じる場合は医療機関に相談することをおすすめします。
【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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本記事は一般情報です。診断・治療は必ず医師の診察をお受けください。












