アルブミンが低いとどうなる?ー原因・症状・改善策
1.アルブミンとは
8.まとめ
アルブミンは、私たちの体内で最も豊富に存在するタンパク質の一つです。主に肝臓で作られ、血液中に放出されます。健康な方の場合、血液中のタンパク質の約60%がアルブミンで占められています。このタンパク質は、私たちの体の様々な重要な機能をサポートしており、健康維持に欠かせない存在です。
1)水分バランスの調整
血液中のアルブミンは、血管内に適切な量の水分を保持する役割を果たします。これにより、水分が組織に過剰に漏れ出すことを防ぎます。
2)栄養素の運搬
脂肪酸、ホルモンやビタミン、ミネラル、薬などの物質を体内の必要な場所へ運びます。
3)毒素や薬物の中和
体内の不要物や薬物と結合し、その作用を緩和する働きがあります。
4)血液のpH(酸性度)調整
血液が適切なpHレベルを維持するのを助けます。

図1.アルブミンの役割
健康診断や血液検査でアルブミン値が「低い」と指摘された場合、「低アルブミン血症」と呼ばれる状態を示しています。通常、健康成人における血液中のアルブミンの正常値(医学的には基準値や基準範囲といいます)は、3.8~5.2 g/dLです。この値が3.8 g/dL未満になると低値と判断されます。尿中アルブミン値は、糖尿病や腎臓病の初期から動くマーカーであり、血液のアルブミン値とは異なるのでご注意ください。
血液検査においてアルブミン値が低下する原因はいくつかあります。主な原因は以下の通りです。
1)肝機能障害
アルブミンは肝臓で作られるため、肝臓の機能が低下するとアルブミンの生成量が減少します。肝機能障害は、慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害などが主な原因と考えられています。
2)栄養不良
タンパク質の摂取不足や消化・吸収障害により、アルブミンの生成に必要な栄養素が不足することがあります。高齢者や長期間の食欲不振、過度のダイエットなどで起こる可能性が指摘されています。
3)腎臓からの喪失
ネフローゼ症候群などの腎疾患では、尿中にタンパク質(アルブミン)が過剰に排出されてしまいます。この現象は「タンパク尿(蛋白尿)」として知られています。詳しくは、「尿蛋白陽性と言われたら―蛋白尿の基準値や原因とは―」をご覧ください。
4)体内での消費・分解の増加
炎症性疾患や重度の感染症、がんなどの慢性疾患により、体内でのアルブミンの消費や分解が増加することがあります。
5)体液量の増加による希釈
心不全や腎不全などで体内の水分量が増えると、血液中のアルブミン濃度が相対的に低下します。これは実際のアルブミン量が減少しているわけではなく、血液の水分量が増えることによる「希釈効果」とされています。心不全は、「心不全とは?-種類と主な原因-」、「心不全の症状、検査と治療」で解説しております。

図2.低アルブミン血症の原因
アルブミン高値について
アルブミン値が基準値より高い場合(5.3 g/dL以上)は、通常は健康上の問題を示すものではありません。むしろ、良好な栄養状態や肝機能を反映していることが多いです。ただし、脱水状態では血液が濃縮され、相対的にアルブミン値が高くなることがありますので、脱水には注意が必要です。
アルブミン値が低下すると、様々な症状が現れることがあります。ただし、軽度の低下では症状がないことも少なくありません。
1)むくみ(浮腫)
特に足首や顔、手などにむくみが見られることがあります。これは血管内の水分が組織に漏れ出すためむくみを引き起こします。「むくみの原因・治療」もご覧ください。
2)倦怠感・疲労感
全身の栄養状態の低下により、疲れやすくなります。日常生活に支障をきたすほど倦怠感を感じる方もおられます。
3)筋力低下
タンパク質不足により、筋肉の維持が難しくなります。長期間続くと筋肉量の減少につながる可能性があります。
4)キズの治りが遅い
組織修復に必要なタンパク質が不足することで、傷の治癒が時間がかかったり、治りにくくなります。
5)免疫力の低下
感染症にかかりやすくなりますので、特に高齢者では注意が必要とされています。
アルブミン値に異常が見られた場合、以下のような追加検査を行うことがあります。
1)肝機能検査
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの肝機能を評価する検査を行います。肝臓の状態を詳しく調べることで、アルブミン低値の原因が肝臓にあるかどうかを判断します。
2)腎機能検査
尿検査(尿タンパク)や血液検査(クレアチニン、eGFRなど)で腎機能を評価します。アルブミンが尿中に漏れ出ていないかを確認します。
3)栄養状態の評価
体重や食事内容の確認、その他の栄養指標(総タンパク、プレアルブミンなど)を測定することがあります。
4)炎症マーカーの検査
CRPなどの炎症マーカーを測定して、体内の炎症状態を評価します。
5)画像検査
胸部X線、超音波検査(エコ-)やCTスキャンなどで肝臓や腎臓、心臓の状態を詳しく調べることがあります。

図3.低アルブミン血症の診療のイメージ
1)適切な食事摂取
良質なタンパク質を十分に摂取することがアルブミン値の改善に役立ちます。
おすすめの食品
① 肉類(鶏肉、牛肉、豚肉など)
② 魚介類(鮭、マグロ、エビなど)
③ 乳製品(ヨーグルト、チーズなど)
④ 卵
⑤ 大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)
⑥ ナッツ類(アーモンド、くるみ、ピーナッツなど)

図4.アルブミンを増やす食材
2)肝臓の健康をサポート
肝機能の低下が原因の場合、肝臓の負担を減らすことが重要です。
① アルコールの摂取を控える
② バランスの良い食事を心がける
③ 適度な運動を行う
④ 十分な休息をとる
⑤ 肝臓の治療を行う
3)基礎疾患の治療
腎臓病や炎症性疾患など、アルブミン低値の原因となっている基礎疾患の治療を適切に行うことが重要です。
1)忙しい現役世代(20-30代)

【不足しがちなアミノ酸】
トリプトファン・リジン
コンビニ弁当やパスタなど糖質中心の食事で、ストレスによりトリプトファンが大量消費されます。日本の主食である米にはリジンがほとんど含まれていないことも影響し、トリプトファン・リジンが不足がちとなります。トリプトファンは、セロトニン(幸福感やリラックス感を司る神経伝達物質)やメラトニン(睡眠を調整するホルモン)の合成に関わるため、不足するとうつ病や不安感、睡眠障害を引き起こしやすくなります。リジンは、コラーゲンやカルシウム吸収、抗体産生に関与するため、不足すると、成長障害、骨の健康の低下、免疫力低下を引き起こす可能性があります。
【おすすめ食材】
・トリプトファン
カツオ刺身8切れ(300mg)、卵1個(90mg)
・リジン
鶏胸肉(手のひら大 2200mg)、豆腐1丁(1800mg)
【対策例】
卵かけご飯、鮭おにぎり、ギリシャヨーグルト(一般ヨーグルトの2倍のタンパク質)
2)働き盛りの体調変化期(40-50代)

【過剰になりがちなアミノ酸】
メチオニン
【不足しがちなアミノ酸】
システイン・グリシン
接待など外食での肉食中心により、メチオニンが過剰となり肝臓に負担をかけがちです。メチオニンを過剰に摂取すると、肝臓に負担がかかり、ホモシステインという有害物質の生成を促進する可能性があります。その結果、心血管疾患のリスクを高めると言われています。
【ひかえめがよい食材】
・メチオニン
牛肉ステーキ100g(700mg)、マグロ刺身8切れ(560mg)
【おすすめ食材】
・システイン
鶏胸肉100g(270mg)、ブロッコリー1株(50mg)
・グリシン
手羽先3本(1200mg)、エビ5尾(800mg)
【対策例】
週2-3回は大豆製品メイン、ブロッコリー・キャベツ・白菜・大根などを積極的に摂取
3)消化能力低下世代(60代以上)

【不足しがちなアミノ酸】
ロイシン・イソロイシン・バリン
食事量減少と消化機能低下、筋肉量減少により必須アミノ酸が不足します。これらのアミノ酸が不足すると、筋肉の合成・修復の遅れ、エネルギー不足、免疫力の低下、精神的な疲労などに影響を及ぼします。
【おすすめ食材】
卵
人間に必要な9種類の必須アミノ酸がすべて理想的なバランス(完全アミノ酸スコア100)で含まれており、食べた分の97%が体内で有効利用される(消化率97%)。
白身魚・鶏ひき肉・豆腐
消化しやすく良質なタンパク質
【対策例】
(朝)卵2個、(昼)白身魚+豆腐、(夜)鶏ひき肉のそぼろ煮
4)女性特有の課題
①月経のある女性

鉄が欠乏すると、タンパク質合成が低下しやすくなります。鉄が欠乏すると貧血というイメージが強いですが、タンパク質合成にも関与しているのです。
【対策例】
赤身肉、カツオ、あさりでヘム鉄+タンパク質を同時摂取
②更年期女性
エストロゲンは肝臓でのアルブミン合成を促すため、エストロゲンが低下するとアルブミン合成能が低下します。
【対策例】
納豆+卵、豆乳+きなこで、大豆イソフラボン+完全アミノ酸を確保する
5)生活スタイル別の注意点
① 筋トレ愛好者

プロテインパウダーでロイシン過剰になりがちです。卵、魚、大豆製品、乳製品など多様な食材からバランスよく摂取することで、より効率的な筋肉合成が期待できます。
② ダイエット実践者

カロリー制限で全アミノ酸が不足し、特にトリプトファン欠乏によりセロトニン不足となり、甘いものへの渇望が増してリバウンドの原因となります。
【おすすめ食材】
低カロリー高タンパクの食材がおすすめです。
鶏胸肉(皮なし)、白身魚、カッテージチーズ
アルブミンは体内で重要な役割を果たすタンパク質であり、その値は全身の健康状態を反映します。低アルブミン血症は様々な健康問題のサインとなることがあり、早期発見と適切な対応が重要です。
【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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