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アルブミンとグロブリンの比率「A/G比」-低下・上昇する病気

 健康診断や人間ドックの血液検査結果に「A/G比」という項目を見かけたことがあるかもしれません。普段あまり意識しない項目ですが、「A/G比が低い」と指摘されると、何を意味しているのか気になる方も多いでしょう。

 

1.A/G比(アルブミン・グロブリン比)とは?

2.A/G比が低下するときに考えられる病気

3.A/G比が上昇するときに考えられる病気

4.検査結果をどう考えるか

5.まとめ

 

 

1.A/G比(アルブミン・グロブリン比)とは?

 A/G比とは、血液中に含まれる「アルブミン(albumin)」と「グロブリン(globulin)」の割合を示す指標です。アルブミンは主に肝臓で作られ、栄養状態や体の水分保持、ホルモン・薬剤の運搬などに関わります。詳しくは「アルブミンが低いとどうなる?ー原因・症状・改善策」をご覧ください。一方、グロブリンには免疫に関連する抗体や炎症に関わるたんぱく質が含まれます。つまりA/G比は、体内の栄養状態と免疫・炎症のバランスを反映しているとも言えます。

 一般的に A/G比は 1.2〜2.0程度が基準とされます。アルブミンが多ければ比は高くなり、グロブリンが多ければ低下します。このバランスが崩れると、背景に何らかの病態が隠れている可能性があります。

 

 

2.A/G比が低下するときに考えられる病気

 A/G比の異常の中でよく問題になるのは「低下」です。アルブミンが減少するか、グロブリンが増加することで起こります。代表的な原因には以下のようなものがあります。

 1)肝疾患

 肝硬変や慢性肝炎ではアルブミン合成が低下します。

 例:肝硬変(ウイルス性、アルコール性、自己免疫性、非アルコール性脂肪性肝炎由来など)、慢性肝炎(B型肝炎、C型肝炎)、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、急性肝炎(ウイルス性、薬剤性、アルコール性など)、劇症肝炎、肝細胞癌、転移性肝腫瘍、脂肪肝(特に進行してNASH→肝硬変に至る場合)、ウィルソン病、ヘモクロマトーシス、アミロイドーシス肝浸潤、肝不全、門脈圧亢進症

 2)腎疾患

 ネフローゼ症候群などで尿中にアルブミンが漏れると、血中アルブミンが減少します。

 例:微小変化型ネフローゼ症候群、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、ループス腎炎、紫斑病性腎炎(IgA血管炎)、アミロイドーシス、糖尿病性腎症、Alport症候群、骨髄腫腎、多発性嚢胞腎(ADPKD)の肝腫大例

 3)栄養障害

 低栄養や消化吸収不良でもアルブミンが不足します。

 例:神経性食欲不振症、高齢者フレイル・サルコペニア、がん悪液質、慢性アルコール依存症、短腸症候群、消化管切除後吸収不良、セリアック病、熱帯性スプルー、慢性膵炎、膵癌による膵外分泌不全、胆道閉塞、蛋白漏出性胃腸症、腸管リンパ管拡張症、消化管悪性腫瘍

 4)炎症・感染症

 慢性炎症や感染症ではグロブリン(免疫グロブリン)が増加します。

 例:肺結核、腸結核、慢性気管支炎、気管支拡張症、慢性副鼻腔炎、梅毒、ブルセラ症、ライム病、慢性B型肝炎、慢性C型肝炎、HIV感染症、EBウイルス慢性感染症

 5)自己免疫疾患

 膠原病などでもグロブリンが増加し、A/G比が低下します。

 例:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、全身性強皮症(全身性硬化症)、多発性筋炎、皮膚筋炎、混合性結合組織病(MCTD)、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症(旧ウェゲナー肉芽腫症)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、旧Churg-Strauss症候群)、結節性多発動脈炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性膵炎

 6)多発性骨髄腫

 特定の異常な免疫グロブリンが大量に作られる病気で、A/G比の低下が特徴的です。詳しくは「「総タンパク・アルブミンの異常」の原因ーMタンパクのお話」をご覧ください。

 

 

3.A/G比が上昇するときに考えられる病気

 逆にA/G比が高い場合は、アルブミンが多いというよりも、グロブリンが少ないことによるケースが多いです。

 1)免疫不全:抗体を十分に作れない先天性・後天性免疫不全症ではグロブリンが低下します。

 2)長期のステロイド使用:免疫抑制によりグロブリンが減少することがあります。

 ただし、A/G比高値はA/G比低値ほど臨床的に問題視されることは少ないです。

 

4.検査結果をどう考えるか

 A/G比は単独で診断をつけるものではなく、ほかの血液検査(総蛋白量、アルブミン値、免疫グロブリン分画など「総タンパク・アルブミンの異常」の原因ーMタンパクのお話」の中で一部説明しています)とあわせて解釈する必要があります。例えば、同じ低A/G比でも、肝機能障害によるアルブミン低下と、慢性炎症によるグロブリン増加では原因が全く異なります。

 健康診断や人間ドックで「A/G比の異常」を指摘された場合には、肝臓や腎臓の状態、慢性炎症や免疫異常の有無をチェックするきっかけと考えるとよいでしょう。

 

 

5.まとめ

 A/G比はアルブミンとグロブリンの割合を示す検査指標であり、低下は肝疾患や腎疾患、慢性炎症、自己免疫疾患、多発性骨髄腫などでみられます。一方で上昇は免疫不全やグロブリンの減少による場合が多いものの、臨床的には比較的重要性が低いとされています。ただし、A/G比の結果だけで病気を判断することはできず、必ず他の検査や臨床症状とあわせて解釈する必要があります。もし異常を指摘された際には、お気軽にご相談ください。

 

 

【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)

市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医

 

略歴

2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修

2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科

2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学

2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業

2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教

2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任

その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任

 

最新の医学知識をわかりやすく発信し、地域の“かかりつけ医”として健康を支えます。
本記事は一般情報です。診断・治療は必ず医師の診察をお受けください。

 

 

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