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健診で心拡大ー受診の目安と検査の流れ

 健康診断(健診)や人間ドックの胸部X線(胸部レントゲン)で心拡大ありと判定されることがあります。心拡大は心臓の疾患を反映している可能性があるため、場合によっては急ぎ受診を要する所見です。

 

1.心拡大とは

2.診察でまず確認していること

3.受診の目安になる症状

4.当院での評価・検査の流れ

5.受診までにできること

6.よくある質問

 

 

1.心拡大とは

 胸部X線において心臓の横幅と胸の横幅の比のことを心胸比と呼び、英語ではCardio thoracic ratio(略語:CTR)と言います。一般に、CTRが50%を超えると、「心拡大」と表現されます。普段からCTRを計測しなれていると、わざわざ計測しなくても心拡大の有無がわかります。このため、実際の外来診療や健診、人間ドックではCTRがいくつですと言われないことが多いでしょう。一方、透析中の場合はCTRの経時的な変化で細かくドライウェイトという透析後の目標体重の調整を行うため、定期的なレントゲン検査でCTRを計測することが一般的です。

 CTRは画像上の見かけの話で、心臓そのものの厚みや心房や心室の大きさが大きくなっていると断定はできません。正確に評価したい場合には、心電図や心エコー(超音波)で確認することになります。

 

 

2.診察でまず確認していること

 外来や健診で行われる胸部X線は、通常は立って正面から撮る方法です。背中側からX線を当て、レントゲンの板を胸にくっつけて撮ることが一般的です。この場合、撮影方法が原因で心臓が過大に見える影響は大きくありません。救急外来や入院中など、寝たままや車椅子の状態で撮影する方法では、胸側からX線を当て、レントゲンの板を背中にくっつけて撮ることになります。この場合、心臓が実際より大きく写ることがあります。一般的な外来や健診などでは、通常の撮影方法で行われますので、この撮影方向は気にする必要はありません。

 さらに、心臓自体に問題がなくても、下記のようにCTRに影響が出てしまうことがあります。

 

 ・体がわずかに斜めを向いたまま撮られていると、心臓の影が片側に広がって見えることがあります。側弯などがある場合、正しい向きに調整しても撮影直前に傾いた状態に戻ってしまう場合もあります。

 ・息を十分に吸い切れていない場合やお腹の内臓脂肪が多い場合、横隔膜の位置が高くなります。結果として、相対的に心臓が大きく見えることがあります。

 ・心臓のまわりに脂肪がついている場合、心臓の壁や厚かったり、心房・心室の広さが大きかったりしない場合でも、胸部X線では心臓が大きく見えることがあります。

 ・炎症や腫瘍の影響で肺の一部に空気が入らなくなることを無気肺といいます。心臓に接する部位に無気肺があると、心臓の影自体が大きめに見えてしまうことがあります。

 

 つまり、心拡大と書かれていても「本当に大きいのか」は、撮影条件・姿勢・息の吸い込みなどを考慮し、前回画像もあれば比較を踏まえて判断します。診療や健診などでは、こうした状況も加味して最終評価をし、結果をお伝えしています。

 

3.受診の目安になる症状

 次の症状がある場合は、早めのご相談をおすすめします。

 

 ・階段や平地での息切れ、横になると苦しい

 ・足のむくみ、数日での体重増加

 ・夜間の咳、動悸、胸の痛み・圧迫感

 

 背景として、高血圧に伴う心臓の負担、心筋症、弁膜症、虚血性心疾患後の心機能低下、心膜に液体がたまる状態(心膜液貯留)などが考えられます。早期に受診し、医師の診察を受けましょう。

 

 

4.当院での評価・検査の流れ

 症状や経時的変化、心拡大の程度などに応じ、どこまで検査を行うかは医師の判断となります。必ずしもすべての検査を行うわけではないことにご留意ください。

 

1)診察・既存画像の確認

 健診結果や画像など、なるべく多くの情報をご持参ください。

2)心電図・胸部X線の再評価

 必要に応じて院内で検査を行い、前回画像があれば比較します。

3)血液・尿検査

 NT‑proBNPやBNP(心不全の指標)や腎機能、甲状腺機能、貧血などを症状に応じて確認します。

4)心エコー(超音波)

 心臓の大きさ・壁の厚み・収縮力・弁の状態を評価します。医師が検査の必要性を判断し、検査予約をおとりします(ご自身の判断ではご予約ができません)。

5)不整脈が疑われる場合

 24時間心電図(ホルター心電図)を行うことがあります。

6)高度な検査や治療が必要な場合

 高次医療機関へ適切にご紹介します。

 

 

5.受診までにできること

 健診や人間ドックで心拡大と指摘された際には、下記を意識いただくのがよいでしょう。

 

 ・濃い味付けや汁物、加工食品を控えて塩分を抑える

 ・自宅で数日間、体重と血圧をメモする

 ・むくみや息切れが強い日は無理をしない

 ・服薬中の方は市販の解熱鎮痛薬(NSAIDs)や過度の飲酒を控える(体液貯留を悪化させることがあります)

 

 急な息苦しさの悪化、胸痛、意識が遠のく感じがある場合は、ためらわずに早急に医療機関を受診してください。

 

6.よくある質問

Q1.「心拡大」と「心肥大」は同じですか?

 同じではありません。心拡大は胸部X線での見かけ(心胸比)を指し、心肥大は心筋の厚みが厚くなっていることを意味します。心拡大には、心臓の大きさは実は正常でも息が十分吸えていない状況で撮影した、あるいは心臓のまわりに脂肪がついているために心臓が拡大しているように見えている場合も含まれます。

Q2.健診で心拡大と言われました。何を持って受診すればいいですか?

 健診結果一式と、可能なら画像データ(CD-ROMなど)をご持参ください。過去の画像があると比較ができ、判断がより正確になります。

Q3.「撮り方で大きく見えることがある」と聞きました。外来でも起こりますか?

 外来・健診の一般的な撮影では、撮影方法だけで大きく見える影響は多くありません。姿勢のずれや息の吸い込み不足で評価が難しいことはありますが、まずは再撮影などで評価を行うことが一般的です。

Q4.「心膜に水がたまっている可能性」と言われました。違いは何ですか?

 心臓自体が大きいのではなく、心臓のまわり(心膜)に液体がたまって大きく見える状態です。確定には心エコーが役立ちます。

 

 

【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)

市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医

 

略歴

2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修

2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科

2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学

2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業

2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教

2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任

その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任

 

最新の医学知識をわかりやすく発信し、地域の“かかりつけ医”として健康を支えます。
本記事は一般情報です。診断・治療は必ず医師の診察をお受けください。

 

 

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