頻尿-原因と対策-
1.頻尿とは
3.頻尿の診断
5.頻尿の予防法

頻尿とは、日中や夜間に排尿の回数が多くなる状態を指します。一般的には、日中に8回以上、夜間に1回以上トイレに行く場合が頻尿の基準とされています。また、排尿回数だけでなく、尿の量や尿意の強さも大事なポイントで、本人の生活の質が保たれるかどうかも重要です。
頻尿があるとき、何科にいけばいいのでしょうか。下記のように原因によって専門科が異なりますが、内科や泌尿器科、腎臓内科、糖尿病内科が主たる診療科となります。
1)生活習慣に関連するもの
水分の取りすぎや、コーヒー・緑茶などによるカフェイン、アルコール、塩分の過剰摂取が原因となることがあります。また、強いストレスや緊張状態も頻尿を引き起こす要因となります。
2)膀胱過活動症(OAB)
膀胱が過敏に反応し、少量の尿でも強い尿意を感じる状態です。過活動膀胱とも呼ばれます。
3)前立腺肥大症(男性)
前立腺が肥大化して尿道を圧迫し、頻繁な排尿や尿のキレの悪さ、残尿感などを感じることがあります。特に50代以上の男性に多いです。

4)泌尿器感染症
尿道炎や膀胱炎があると、頻繁に尿意を感じるようになります。痛みを感じることも多いですが、痛みなしの場合でも尿路感染症が原因であることもあります。原因は主に細菌やウイルスで、特に尿道炎では性感染症が原因となることもあります。
5)膀胱結石・膀胱がん
膀胱結石や膀胱がんなどの腫瘍が膀胱を刺激することで、頻尿の原因となることがあります。これらの疾患では、頻尿に加えて血尿がみられることもあります。

6)糖尿病
糖尿病では、血糖値の上昇により尿量が増え、頻尿を引き起こすことがあります。多飲や喉の渇きとあわせて見られることがあります。
7)腎機能障害
腎機能が低下すると夜間頻尿になりやすくなります。
8)加齢による変化
年齢を重ねると膀胱の弾力性が低下し、尿をためておく力が弱くなっていきます。そのため、高齢者では少量の尿でも尿意を感じやすくなり、頻尿の原因となることがあります。運動不足があれば筋力がより弱まりやすくなります。
9)その他の疾患
神経系の障害(パーキンソン病、多発性硬化症など)や、心理的な要因(不安やうつなど)による場合もあります。また、女性の場合、子宮筋腫や卵巣がんなどの卵巣腫瘍により膀胱が圧迫を受けることで頻尿になることがあります。また、妊娠初期にもホルモンの影響で膀胱の筋肉が緩み、頻尿になることがあります。
10)夜間に起こる排尿異常(夜間頻尿・夜尿症)
夜間頻尿は、夜間にのみ排尿のために繰り返して目が覚める状態で、腎機能障害や加齢、ホルモンバランスの乱れなど、多様な要因が関与します。何回も目が覚めて寝れないと、寝不足で疲れがたまりやすくなります。一方、夜尿症は、主に小児にみられ、下垂体から分泌される抗利尿ホルモンの乱れや、膀胱機能が未発達であること、睡眠中の覚醒障害などが原因となります。
1)問診
排尿回数やタイミング、1回尿量を記録する排尿日誌が役立ちます。症状の詳細や生活習慣についても確認されます。
2)尿検査
感染症や糖尿病の有無を確認します。

3)画像診断
超音波検査などで膀胱や前立腺の異常を調べます。
4)その他の検査
泌尿器科外来では、ウロフロメトリ、尿流量測定や残尿測定が行われることもあります。
1)生活習慣の改善
・カフェイン・アルコール・塩分の制限
・就寝前の水分摂取を控える
・適度な運動とストレス管理

2)薬物療法
頻尿の原因に応じた薬剤を使用します。

(1)膀胱過活動症(OAB)
① β3作動薬(膀胱平滑筋弛緩薬)
膀胱の筋肉をリラックスさせ、尿をためる能力を向上させます。
・ベオーバ®(ビベグロン)
β3受容体を刺激して膀胱を弛緩させます。抗コリン薬より副作用が少ないです。
・ベタニス®(ミラベグロン)
比較的安全性が高く、高齢者にも使いやすいです。
② 抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)
膀胱の排尿筋の過剰な収縮を抑えることで、尿意をコントロールしやすくします。
・バップフォー®(プロピベリン)
膀胱の過剰な収縮を抑えます。副作用として口の渇き・便秘があります。
・トビエース®(フェソテロジン)
効果が比較的長く続きます。口渇・便秘・眠気の副作用が出ることがあります。
・デトルシトール®(トルテロジン)
作用が比較的穏やかです。眠気や便秘が起こることがあります。
(2)前立腺肥大症
① α1遮断薬(尿道を広げる薬)
前立腺や膀胱の筋肉の緊張を和らげ、尿の通りを改善します。
・ハルナール®(タムスロシン)
排尿をしやすくします。めまいや低血圧の副作用があります。
・ユリーフ®(シロドシン)
排尿の勢いを改善します。逆行性射精(精液が膀胱内に逆流する)が起こることがあります。
② 5α還元酵素阻害薬(前立腺を縮小させる薬)
・デュタステリド®(アボルブ)
長期間服用することで前立腺のサイズを縮小させ、尿の流れを改善します。
③ PDE5阻害薬(血流改善を通じて前立腺症状を緩和)
・ザルティア®(タダラフィル)
勃起障害の治療薬として一般的に使用されます。前立腺周囲の筋肉の緊張緩和や血流の増加によって排尿症状を改善します。
(3)泌尿器感染症(膀胱炎)
細菌感染が原因の場合、抗菌薬(抗生物質)が使用されます。
① ニューキノロン系抗菌薬(レボフロキサシンなど)
広範囲の細菌に有効な抗生物質です。
② セフメタゾール®(セフェム系抗菌薬)
ニューキノロン系抗菌薬は妊婦に使用できないため、その場合セフェム系抗菌薬が用いられます。
③ 猪苓湯(ちょれいとう)
軽い膀胱炎に使用し、足のむくみや尿の出にくさを改善します。市販薬としても購入できます。

(4)夜間頻尿・加齢による排尿障害
抗利尿ホルモン製剤(夜間頻尿に対する薬)または漢方薬を使用します。
① デスモプレシン®(ミニリンメルト)
小児向けに夜尿症の薬としてよく用いられ、夜間の尿量を減らします。低ナトリウム血症のリスクがあるため、慎重に使用する必要があります。
② 八味地黄丸(はちみおうがん)
高齢者の夜間頻尿や冷え性に有効です。
(5)骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋を鍛えることで膀胱を安定させ、尿意をコントロールしやすくします。

(6)外科的治療(必要時)
前立腺肥大が重度の場合、経尿道的前立腺切除術(TURP)を検討します。
頻尿を防ぐためには以下のポイントが重要となります。
1)定期的な健康診断を受ける。
2)夜間頻尿では就寝前の水分摂取を控えめにする。
3)糖尿病や膀胱結石を防止するため、適度な運動とバランスの取れた食事を心がける。

まとめ
頻尿は、多くの人が経験する可能性のある一般的な症状ですが、生活の質に大きな影響を与えることがあります。頻尿が続く場合は、原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。日常生活の中で少しずつ改善できる部分から取り組むことで、症状を軽減することが可能です。
【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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本記事は一般情報です。診断・治療は必ず医師の診察をお受けください。












