シルガード9とはーHPVワクチンの効果・副反応・接種スケジュール
目次
1.HPV(ヒトパピローマウイルス)とはどんなウイルスですか?
HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスで、性経験のある女性の多くが一生に一度は感染するとされています。ほとんどの場合は自然に消えますが、一部の型(高リスク型)が長期間残り続けると、子宮頸がんに進行することがあります。
2.シルガード9が防ぐHPVの型
3種類のHPVワクチン比較(子宮頸がん予防カバー率)
サーバリックス
ガーダシル
シルガード9
シルガード9は子宮頸がんの原因となるHPVの型を9種類カバーします
シルガード9が対応する9種類の型:
肛門がんの主因
肛門がんの主因
肛門がん関連
肛門がん関連
肛門がん関連
肛門がん関連
肛門がん関連
の原因
の原因
3.誰が受けられますか?
定期接種(公費・原則無料)
小学校6年生〜高校1年生相当の女子が対象です。標準的な接種時期は中学1年生(13歳)です。接種券はお住まいの市区町村から送られてきます。
任意接種(自費)
定期接種の対象年齢を過ぎた方も接種できます。費用は1回あたり約2万〜3万円程度です。詳細はお気軽にご相談ください。
4.接種のときに必要なもの
接種当日は、以下のものをご持参ください。
定期接種(公費)の方
※予診票を紛失した場合は、お住まいの市区町村の予防接種担当課で再発行できます。
任意接種(自費)の方
5.接種回数・スケジュール
接種回数は、1回目を受けるときの年齢によって異なります。
1回目から5か月以上あけて2回目。合計2回で完了します。 ※5か月未満で2回目を受けた場合は3回目が必要になります
1回目 → 2か月後に2回目 → 6か月後に3回目。合計3回です。
いずれも1年以内に規定回数を終えることが望ましいとされています。
6.シルガード9の予防効果と臨床データ
シルガード9は2025年4月時点で世界100の国・地域で承認され、70以上の国で接種プログラムに導入されています(米国・カナダ・オーストラリアなど)。以下に主なエビデンスをまとめます。
臨床試験において、HPV31/33/45/52/58型に関連する高度子宮頸部上皮内腫瘍(CIN2/3)・上皮内腺癌(AIS)の発生に対して統計的に有意な予防効果が確認されています。日本人集団でも、試験期間中に病変の発生は認められませんでした。
スウェーデンでおこなわれた大規模コホート研究(Lei J et al., NEJM 2020)では、17歳未満で接種した群で子宮頸がんの発症リスクが約88%低下したことが示されています。

NEJM 2020より引用、一部改変
9〜15歳の男女を対象とした臨床試験フォローアップ(002-20試験)では、3回接種後11年(中央値10年)まで病変の発生が認められませんでした。接種後10年での抗体陽性率は81〜98%を維持しています。
シルガード9がカバーする9型は、HPV陽性の肛門がん(扁平上皮がん)の約96%(海外データ)から検出されています。日本では肛門がんの定期検診制度がなく、ワクチンによる一次予防が特に重要です。
16〜26歳の日本人男性1,059例を対象とした試験では、HPV6/11/16/18型に関連する持続感染への予防効果が89.3%(主要評価項目)と確認されました。
7.副反応について
よくある反応:接種した部位の痛み・腫れ・赤み、発熱、頭痛。数日以内に自然に治まることがほとんどです。
失神への注意:注射の痛みや緊張をきっかけとした一時的な失神が起こることがあるため、接種後30分は院内で休んでいただきます。
重篤な副反応(まれ):アナフィラキシー(約96万回に1回)、ギラン・バレー症候群(約430万回に1回)などがまれに報告されています。気になる症状が続く場合はご相談ください。
安全性の評価:国内外の大規模調査において、接種によるリスクは有効性を大きく下回ると評価されており、2022年4月より定期接種の積極的な推奨が再開されました。
8.接種は任意です
HPVワクチンの接種は強制ではなく、ご本人と保護者の方が、効果とリスクを理解したうえで判断するものです。厚生労働省は、子宮頸がん予防のメリットが副反応などのデメリットを上回ると確認したうえで接種を勧めていますが、迷うことや不安なことがあれば、接種前にお気軽にご相談ください。
9.まとめ
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✓シルガード9は、子宮頸がんの原因となるHPV感染を予防するワクチンです。
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✓2026年4月から、公費で受けられるHPVワクチンはシルガード9のみになっています。
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✓接種回数は年齢によって2回または3回です(15歳誕生日前後で異なります)。
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✓定期接種の方は保護者の同伴が必要です。自費でも高校生以下は保護者同伴必須です。
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✓将来の子宮頸がん・肛門がん予防のため、対象年齢のうちに計画的な接種をご検討ください。
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✓接種後も定期的な子宮頸がん検診(20歳以降、2年に1回)は引き続き重要です。
【参考文献】
・厚生労働省「9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(シルガード9)について」2026年4月
・MSD株式会社「シルガード9 電子添文」2025年8月改訂
・MSD株式会社プレスリリース「シルガード9 肛門がん予防の適応追加と男性への接種対象拡大について承認を取得」2025年8月25日
・Lei J, et al. HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical Cancer. NEJM. 2020;383(14):1340-1348
・こどもとおとなのワクチンサイト(2025年9月)
【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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