MRワクチン(麻疹・風疹)ー接種時期・副反応・妊娠前の注意点
目次
1.MRワクチンとは
MRワクチンは、麻疹(はしか)と風疹の2つの病気を同時に予防できる混合ワクチンです。1回の注射でまとめて接種できます。成人でも免疫がない・弱い場合は感染リスクがあるため、接種をご検討ください。
空気感染するほど感染力が強く、免疫のない方はほぼ100%かかるといわれています。高熱・発疹のほか、肺炎・脳炎などの重い合併症を引き起こすことがあります。

図1.麻疹の累積報告数(2019~2026年)
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイトより引用、一部改変
比較的軽くみえる場合もありますが、妊娠初期(特に妊娠20週ごろまで)に感染すると、赤ちゃんに先天性風疹症候群がみられることがあります。先天性風疹症候群は、難聴・心疾患・白内障のほか、肝脾腫、血小板減少、精神発達遅滞、小頭症をきたすため、注意が必要です。風疹の流行年に、先天性風疹症候群の報告が増加します。

図2.風疹の累積報告数(2019~2026年)
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイトより引用、一部改変
2.お子さんの定期接種について
お子さんには定期接種として、公費(自己負担なし)で2回の接種が行われています。当院では小児科診療は行っておりませんが、参考としてご案内します。
1歳になったらなるべく早めに接種します。麻疹は1歳前後から感染リスクが高くなります。
1回目の免疫を補強し、学校での集団感染を防ぎます。
※ 小児の定期接種は、かかりつけの小児科にご相談ください。
3.大人の方へ
成人でも、以下に当てはまる方は免疫の確認・接種をご検討ください。
妊娠前に抗体価を確認し、低い場合は接種しておくことが大切です。
定期接種が1回のみだった世代や、記録がない方は免疫が不十分な可能性があります。
麻疹は海外で依然として流行している地域があります。渡航前の確認をお勧めします。
4.接種後の副反応について
MRワクチンは安全性の高いワクチンですが、接種後に副反応が起こることがあります。多くは数日以内に自然に回復します。
- 注射した部位の赤み・腫れ・痛み
- 発熱(接種後5〜14日ごろ)
- 発疹(麻疹様・風疹様)
- リンパ節の腫れ
- 関節痛・筋肉痛(特に成人女性に多い)
- 血小板減少性紫斑病(皮膚に点状の出血が出る)
- 関節炎(特に成人女性)
- 耳下腺の腫れ(おたふく様症状)
- アナフィラキシー:接種後30分以内に起こることがあります。
- 脳炎・脳症:非常にまれ(100万回接種に1件以下)ですが報告されています。
5.接種できない方・注意が必要な方
以下に当てはまる方は、接種前に必ずご相談ください。
- 妊娠中の方(生ワクチンのため接種できません。接種後2か月間は妊娠を避けてください)

- 発熱中・体調不良の方
- 卵・ゼラチンに対する重篤なアレルギーのある方
- 免疫が著しく低下している方(抗がん剤治療中など)
- 過去にMRワクチンで重篤な副反応が出たことがある方
6.よくあるご質問(Q&A)
妊娠を希望する女性・妊婦の同居者など
- 陰性・判定保留 → ワクチン接種が必要
- 陽性かつEIA価 8.0未満 → 感染予防に不十分なため接種を推奨
- EIA価 8.0以上 → 十分な免疫あり
上記以外の方(一般成人など)
- 陰性・判定保留 → ワクチン接種が必要
- 陽性かつEIA価 8.0未満 → 発症・重症化は防げる水準。希望される方は医師にご相談ください
- EIA価 8.0以上 → 十分な免疫あり
万が一、すでに免疫がある状態でワクチンを接種しても、医学的に大きな問題はありません。
妊娠を希望される方は、妊娠する前(少なくとも2か月以上前)に接種を済ませておくことをお勧めします。
【参考文献】
・厚生労働省「麻疹・風疹ワクチンについて」
・国立感染症研究所「風疹に関する情報」
・予防接種ガイドライン等検討委員会「予防接種ガイドライン」
【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
東東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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