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多発性のう胞腎外来

多発性のう胞腎(ADPKD)は、適切な診断と治療によって進行スピードを抑えられる時代になりました。当院では、東京大学医学部附属病院で多発性のう胞腎外来の運営に長く携わってきた経験をもとに、専門的な診療を地域で継続して提供しています。ご本人だけでなく、ご家族に関するご相談も承ります。

1.院長からのメッセージ

 多発性のう胞腎(ADPKD)は、かつては「進行を止められない難病」と捉えられていたご病気です。しかし、トルバプタン(サムスカ)という治療薬が登場したことで、状況は大きく変わりました。正しく診断し、適切な治療を続けることで、腎機能の悪化スピードを大きく抑えられることが、現在では実際の診療データで証明されています。

 当院では、東京大学医学部附属病院で多発性のう胞腎外来の運営に長く携わってきた経験を、地域のクリニックでも変わらず提供することを目指しています。

 多発性のう胞腎は、ご本人だけでなく、ご家族の将来にも関わるご病気です。お子様の検査のタイミング、結婚や妊娠に関するご不安、ご家族の症状についてのご相談──こうした細やかな部分にこそ、私たちが大切にしているものがあります。

 「怖がらずに、正しく向き合う」──これが、多発性のう胞腎と長くつき合っていくために最も大切なことだと考えています。何でも気軽にご相談ください。医療において最も大事なことは、誠実に対応することだと思っています。寄り添う形で診療を続けてまいります。

市川駅前本田内科クリニック 院長 本田 謙次郎

2.当院の多発性のう胞腎外来の特徴

東京大学医学部附属病院での外来運営の経験を、市川駅前のクリニックで継続して提供します。

東京大学医学部附属病院での運営経験を地域で

 院長は、2014年に東京大学医学部附属病院において多発性のう胞腎外来を立ち上げ、運営してきました。開設以来、ほぼすべての患者さんの診療を直接担当し、全国の医療機関で医師向けのセミナーを行うなど、多発性のう胞腎診療の標準化と普及に取り組んでまいりました。

 院長が東京大学医学部附属病院で行ってきた専門外来診療を、市川駅前のクリニックでも同じように提供することが、この外来の目的です。なお、院長は現在も東京大学医学部附属病院で外来診療を継続しています。

3.多発性のう胞腎(ADPKD)とは

 多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease, ADPKD)は、両方の腎臓に多数の嚢胞(液体のたまった袋)ができ、徐々に大きくなることで腎機能が低下していくご病気です。常染色体顕性遺伝という形で受け継がれることが多く、家族内で複数の方が発症することが少なくありません。

 国内では指定難病(難病法に基づく医療費助成の対象)として認定されており、条件を満たす方には公費助成の制度があります。詳しくは 受診案内ページ「特定難病の方へ」 をご参照ください。

代表的な症状・合併症

  • 高血圧(30歳代から発症することが多く、最も頻度の高い合併症)
  • 腰や脇腹の痛み
  • 血尿
  • 腎機能の低下
  • 脳動脈瘤、心臓弁膜症、肝嚢胞などの腎外合併症

4.当院で行う診療内容

検査・薬物治療・血圧管理・合併症評価・生活指導・ご家族の相談まで、総合的に対応します。

検査・評価

 当院で行える検査は、血液検査・尿検査、腹部超音波検査(腎臓・肝臓の嚢胞評価、腎臓のサイズ測定)、血圧測定・家庭血圧の評価です。また、合併症の評価に必要な心電図・胸部X線・心臓超音波検査(心エコー)も院内で対応しています。

 MRI検査(腎容積の精密評価、脳動脈瘤スクリーニング)やCT検査については、連携医療機関での実施をご案内します。MRIを実施する医療機関には、土曜診療や夜間診療に対応しているところもあり、お仕事の都合に合わせてお選びいただけます。

 検査結果の評価では、総腎容積(TKV)などの量的評価に加えて、嚢胞の分布や腎臓の形態といった質的評価も大切な要素となります。両面から総合的に判断することで、進行リスクの予測や治療方針の検討をより的確に行うことができます。

トルバプタン(サムスカ)治療

 トルバプタン(商品名:サムスカ)は、多発性のう胞腎の進行を抑える効果が証明されている治療薬です。適応となる患者様には積極的に処方を行っています。

 服薬中は月1回の定期受診で、効果と副作用のモニタリングを行います。旅行や外出時の服用タイミング、お仕事や生活スタイルに合わせた飲み方の調整、食事に関する注意点、服薬中に生じるお困りごとなど、日常の中で出てくるご相談にも、お一人おひとり個別にお応えしています。

血圧管理と腎機能保護

 多発性のう胞腎では高血圧が早い時期から認められることが多く、適切な血圧コントロールが腎機能保護の柱となります。当院では、ACE阻害薬・ARB(レニン-アンジオテンシン系阻害薬)、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬などを組み合わせ、お一人おひとりの状態に合わせた管理を行っています。

 近年、慢性腎臓病に広く用いられているSGLT2阻害薬については、多発性のう胞腎に対する使用は国内外のガイドラインで慎重な対応が示されており、引き続きエビデンスの蓄積が進められている段階です。新しい知見が出てきた際には、患者様お一人おひとりの状況を踏まえてご相談しながら方針を考えてまいります。

合併症評価

 多発性のう胞腎では、腎臓以外の臓器にも合併症が生じることがあります。腎臓病診療の柱は「通常の治療」「日常生活の管理」「合併症の評価」の3つで、多発性のう胞腎ではこの合併症評価が特に重要になります。

 当院で評価・管理を行う主な合併症は、脳動脈瘤・くも膜下出血、肝嚢胞・多発性肝嚢胞、膵嚢胞、心臓弁膜症、大動脈瘤、腎結石などです。MRI/MRA や他科への連携が必要な際は、適切な専門医療機関へのご紹介を行います。

 大きな肝嚢胞では開窓術が選択肢となる場合があり、進行した場合には専門施設での治療が検討されることもあります。必要に応じて、適切な医療機関と連携しながら診療を進めます。

食事・生活指導

 ナトリウム制限、十分な水分摂取、適度な運動など、多発性のう胞腎の進行を緩やかにするための生活習慣指導を行います。患者様のお仕事や生活スタイルに合わせて、無理なく続けられる方法をご一緒に考えます。日常の細かな疑問にも、できる限りお応えします。

ご家族・お子様のご相談

 多発性のう胞腎は遺伝性のご病気ですので、ご本人だけでなくご家族に関するご相談を多くいただきます。

 たとえば、お子様にも病気が引き継がれている可能性、検査のタイミング(小さいうちは「知らないでいる」方が良い場合もあります)、結婚や妊娠・出産に関するご相談、ご家族に出ている症状が多発性のう胞腎を疑うものかどうか、といった内容です。

 ご家族間で進行スピードは似た傾向となることが多いですが、約1割は家族内でも個人差があります。これまでの診療経験を踏まえつつ、各ご家族のご事情に合わせて方針をご一緒に考えていきます。

5.指定難病・公費助成について

 多発性のう胞腎は指定難病に認定されており、要件を満たす方は医療費の公費助成を受けることができます。申請手続きや必要書類について、当院でもご案内しています。

関連ページ:制度の詳細は 受診案内ページ「特定難病の方へ」 をご参照ください。

6.こんな方はぜひ一度ご相談ください

 次のような方は、ご自身の腎臓の状態を一度確認しておくことをお勧めします。

  • ご家族(特に親・兄弟姉妹)に多発性のう胞腎の方がいる
  • ご家族に透析を受けていた方がいる(古い世代では正確な診断がついていなかった場合があります)
  • ご家族に脳卒中・くも膜下出血・脳動脈瘤の既往がある
  • 健康診断や人間ドックで「腎機能が悪い」「クレアチニンが高い」「eGFRが低い」と指摘された
  • 「腎嚢胞がある」と指摘されたが、詳しく評価していない
  • 原因がはっきりしないまま腎機能が下がってきている
情報:家族歴のない方でも、新規変異(de novo)として発症する場合がまれにあります。「家族歴がないから関係ない」とは限りませんので、気になる方はご相談ください。

7.受診について

 紹介状の有無は問いません。お持ちの方はご持参ください。これまでの検査結果(特に画像検査)、お薬手帳をお持ちいただくとスムーズです。

表1 典型的な受診頻度の目安

状態 受診頻度
トルバプタン(サムスカ)内服中 月1回
慢性腎臓病として落ち着いている方(トルバプタン未使用) 2〜3か月に1回
嚢胞があり、現時点で治療を要しない方 年1回(経過観察)

 経過観察の方は、年に1回当院で血液・尿検査と血圧チェックを行い、別途MRI検査の予約をお取りいただきます。MRIを撮影いただいた後、改めて当院で結果のご説明をする流れとなります。

8.他院・地域の先生方へ(ご紹介について)

 原因のはっきりしない腎機能低下や、腎エコーで嚢胞が指摘されたが診断が確定していない方、嚢胞の数が少なくても緩徐に進行する型の可能性がある方、透析患者の家族歴がある方、健診で腎機能低下を指摘されたものの原因が分からない方──こうした患者様がおられましたら、一度ご紹介ください。腎臓の専門部分のみ拝見し、結果をお返しする形でも対応可能です。

 脳動脈瘤やくも膜下出血が発見された患者様で、多発性のう胞腎をはじめとする全身性の評価をご検討の際は、当院でもご相談を承ります。

 当院は多発性のう胞腎・腎臓専門部分を担当し、内科的な日常管理は地域の先生方と連携する体制を基本としています。患者様のご希望に応じて、当院をかかりつけとする形にも柔軟に対応いたします。検査結果・診療内容は適宜お返しします。

9.ご予約・お問い合わせ

 多発性のう胞腎の診療は「一般外来」で承っております。下記のオンライン予約、または診療開始時刻の5分前以降にお電話(047-702-5508)でご予約ください。ご家族・血縁の方の同時受診にも対応しています。

まとめ

 多発性のう胞腎は、トルバプタンをはじめとする治療と適切な合併症評価によって、進行を抑えながら長くつき合っていけるご病気です。当院では東京大学医学部附属病院での外来運営の経験をもとに、検査から治療、合併症評価、ご家族のご相談まで総合的に対応します。ご本人・ご家族のどなたでも、気になることがあればお気軽にご相談ください。

 

 

【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)

市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医

 

略歴

2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修

2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科

2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学

2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業

2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教

2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任

その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任

 

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本記事は一般情報です。診断・治療は必ず医師の診察をお受けください。

 

 

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