高血圧の原因
高血圧は「血圧が高い状態」を指しますが、その原因にはさまざまなものが関係しています。中には、重要な病気や生活習慣の乱れが隠れていることもあります。
高血圧の背後には、体の中でホルモンや血流のバランスを崩す病気が隠れていることがあります。このような病気が原因の高血圧は、「二次性高血圧」と呼ばれます。
A)原発性アルドステロン症や褐色細胞腫
B)腎血管性高血圧
C)睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)
D)心臓病や腎臓病、脳出血などの脳血管障害
A)原発性アルドステロン症や褐色細胞腫
ホルモンの分泌異常によって血圧を上げるホルモンの作用が強まる病気です。特に通常の治療では血圧が下がりにくい場合、若くして高血圧がある場合、血液中のカリウムが低い場合、これらの病気が隠れている可能性が考えられます。
B)腎血管性高血圧
腎臓に血液を送る腎動脈が狭くなることで起こる高血圧です。腎動脈が狭くなると腎臓が「血液が足りない」と勘違いし、血圧を上げるホルモンを過剰に分泌してしまいます。その結果、全身の血圧が高くなります。腎動脈が狭くなる原因として、動脈硬化や線維筋性異形成、血管炎などがあります。
C)睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)
睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気で、高血圧の原因になることがあります。呼吸が止まるたびに体が酸素不足となり、これを補おうと交感神経が活発になります。その結果、血管が収縮し、血圧が上がりやすくなります。さらに、睡眠の質が悪化することでホルモンバランスも崩れ、高血圧を引き起こしやすくなります。特に、早朝や夜間の血圧が高い場合は、睡眠時無呼吸症候群が関与している可能性があります。
D)心臓病や腎臓病、脳出血などの脳血管障害
心臓病:心臓の働きが弱まると、血液を効率よく送り出せなくなります。心臓のポンプの機能が落ちることで、心臓で血液が渋滞することになります。渋滞した高速道路には車の数が増えるように、渋滞した水分が体にたまるため、体の水分量が増加します。この状態が続くと血圧が上昇し、高血圧を悪化させることがあります。
腎臓病:腎臓がうまく働かないと、体内のナトリウム(塩分)や水分の排出がとどこおり、血液量が増えて血圧が上昇します。また、腎臓が「血液が足りない」と誤認し、血圧を上げるホルモンを過剰に分泌することもあります。
脳出血や脳梗塞などの脳血管障害:これらの病気は高血圧が原因で起こることが多いですが、一方で脳の血流の調整が乱れる(脳が「血流が足りない」と誤認する)と、血圧を異常に高める反応が起きる場合もあります。
高血圧は、普段の生活習慣とも深く関係しています。このように、明確な原因はわからないものの生活習慣や遺伝が要因となる高血圧は「本態性高血圧」を呼ばれます。
A)食生活の乱れ
B)肥満
C)睡眠不足やストレス
D)アルコールの過剰摂取
E)運動不足
A)食生活の乱れ
塩分の取りすぎは、高血圧の大きな原因です。塩分を摂りすぎると、体内にナトリウムが増えて水分がたまり、血液量が増加します。その結果、血圧が上昇します。また、不規則な食事や栄養バランスの偏った食事も血圧に影響します。野菜や果物が不足すると、カリウム(ナトリウムを排出する働きがある)が不足し、血圧が上がりやすくなります。
B)肥満
体重が増えると心臓や血管に負担がかかり、血圧が上がりやすくなります。特に内臓脂肪が増えると、血管を収縮させる物質が分泌され、血圧が高くなるリスクが高まります。また、肥満はインスリン抵抗性を引き起こすことがあり、これがさらに血圧を上昇させる一因となります。
C)睡眠不足やストレス
睡眠不足は交感神経を刺激し、血管を収縮させて血圧を上げます。また、睡眠中に血圧を下げる機会がなくなり、慢性的に高血圧の状態が続くことがあります。ストレスも同様に交感神経を活発にし、血圧を上昇させる要因になります。特に、慢性的なストレスはホルモンバランスを乱し、血圧をコントロールしにくくする原因となります。
D)アルコールの過剰摂取
アルコールの飲みすぎは、一時的に血管を広げて血圧を下げるように見えますが、体が元に戻そうとして交感神経を活発化させるため、結果的に血圧が上昇します。さらに、大量飲酒は体重増加や肝機能障害を引き起こし、間接的に高血圧のリスクを高めます。
E)運動不足
運動不足によって血管や心臓が弱くなり、血液をうまく循環させることができなくなります。これにより、血流の調整が難しくなり、血圧が上がりやすくなります。また、運動不足は肥満やストレスの増加にもつながり、高血圧のリスクをさらに高める原因となります。
高血圧は、原因に応じて適切に対応することで予防や改善が期待できます。病気が原因の場合は早期に医師の診察を受け、治療を進めることが大切です。一方で、生活習慣が関係している場合は、規則正しい生活や適度な運動を心がけることで、血圧を安定させることが可能です。毎日のちょっとした工夫が、健康な体づくりにつながります。