むくみの原因・治療
2.原因(病気)
3.原因(生活習慣)
4.治療

むくみ(英語:edema)は、多くの人が経験する一般的な症状です。顔や手に見られることもありますが、多くは足に出現し、特に立ち仕事や長時間の座り仕事をする人に多く見られます。むくみとは、体内の余分な水分が組織に溜まり、腫れや重だるさを引き起こす状態です。
腎臓病、心不全、肝障害、甲状腺疾患、リンパ系の障害などの疾患は、むくみの原因となることがあります。片側のむくみか両側のむくみかで考えられる原因が異なります。
1)主に片足がむくむ(片側性のある)疾患
① 血栓症(深部静脈血栓症)
足の静脈に血栓ができる病気で、いわゆるエコノミークラス症候群ともいわれます。足全体やふくらはぎが痛みを伴って腫れます。また、足を押したり触れたりした際に痛み(圧痛)を感じることもあります。血液検査、超音波(エコー)やCTによって診断します。
② 下肢静脈瘤
静脈の弁が正常に機能せず、血流が逆流して静脈内にとどまることによって静脈が太くなり、静脈が目立ってくるといった症状があらわれる病気です。また、足にだるさや重さがあらわれ、症状が進行すると静脈瘤のできた部分に色素沈着や皮膚硬結、皮膚潰瘍がみられます。エコーや脈波検査、重傷の場合にCTやMRI、静脈造影によって診断します。

③ 脳梗塞後の麻痺(不全麻痺を含む)
麻痺によって、ふくらはぎの筋肉が動かしづらくなることで血液を心臓に押し上げる機能が低下し、足の血流が滞りやすくなります。これにともなって、足に重さを感じたり、足の感覚が鈍くなりふらつきやすくなったりするなどの症状がみられます。MRIやCT、神経学的検査によって診断します。
④ 変形性膝関節症
膝に腫れや痛みがあらわれたり、起床後すぐの歩行で膝に違和感を覚えたり、膝の曲げ伸ばしに伴ってコリコリ・カリカリといった音が鳴ったりする症状がみられます。X線検査やエコーによって診断します。
⑤ 蜂窩織炎
皮膚や皮下組織の深部に細菌が入ることによって起こる感染症です。通常、蜂窩織炎が起こった部位では、局所的に皮膚に赤みが出たり(発赤)、熱を持ったり(熱感)、押すと痛みが見られたり(圧痛)しますが、同時にむくみが見られます。炎症の程度を判断するために、血液検査が行われることがあります。
⑥ リンパ浮腫
手術や外傷によってリンパ節を切除した際にリンパの流れが阻害されることで体の特定の部位にむくみが生じる病態です。がんの手術でリンパ節を切除した(リンパ節郭清)際にみられることが多いです。
⑦ 遺伝性血管神経性浮腫
遺伝的要因により血管の透過性が異常になり、液体が血管外に漏れ出すことで、顔、唇、まぶた、四肢などの組織にむくみが生じます。突然むくむことが多く、喉や気道がむくむと呼吸困難や窒息の危険性もあります。発作の頻度や重症度には個人差があります。血液検査のC1インヒビターが参考になります。
2)主に両足がむくむ(両側性のある)病気
① 心不全
少しの動作で息切れがしたり、脈が不自然に速くなったり、寝ている際に息苦しくなったりするといった症状がみられる場合は心不全の可能性があります。心不全は心臓のポンプ機能が低下する病気で、心電図、心臓の超音波検査(心エコー)、胸部X線などをして心臓の状態を確認します。心不全の診断や治療については、「心不全の症状、検査と治療」をご覧ください。

② ネフローゼ症候群
大量の蛋白尿が出る病気で、尿が泡立つようになったり、尿量が減少したり、全身に倦怠感や疲労感があらわれたりするといった症状がみられます。尿検査や血液検査によって診断します。詳しくは、「尿蛋白陽性と言われたら―蛋白尿の基準値や原因とは―」をご参照ください。
③ 肝硬変
元に戻らない程度まで肝機能が悪化した病態で、腹部に水分が貯留する腹水や、手の震え、食欲不振といった症状がみられます。腹部エコーやCT、MRIなどによって診断します。

④ 甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、甲状腺のホルモンの分泌が低下する病気で、無気力、疲労感、動作緩慢、記憶力低下、便秘などの症状がみられます。甲状腺機能低下症の原因は、橋本病が多くを占めます。血液検査やエコーによって診断します。
⑤ 薬剤性(カルシウム拮抗薬)
カルシウム拮抗薬は高血圧や狭心症、不整脈などの治療に用いられる薬で、血管の拡張を促す作用を持ちます。副作用として足のむくみがみられる場合があります。
1)長時間の立ち仕事や座り仕事
同じ姿勢を長時間続けることにより、血液が足に滞留しやすくなり、むくみが生じることがあります。特に、立ちっぱなしや座りっぱなしの仕事をしている人に多く見られます。
2)塩分の過剰摂取
塩分を多く摂取すると、体内の水分バランスが崩れ、むくみを引き起こすことがあります。高塩分の食事を続けると、体が水分を保持しやすくなり、足がむくみやすくなります。
3)運動不足
運動不足により、筋肉が血液を適切に循環させる力が弱まり、足のむくみが発生しやすくなります。適度な運動は、血液とリンパ液の流れを促進し、むくみを防ぎます。
4)妊娠
妊娠中はホルモンの変化や子宮の圧迫により、足のむくみが生じやすくなります。特に妊娠後期には、体内の水分が増加し、足にむくみが現れることが多いです。また、女性は月経(生理)やPMSの際に同様の症状が現れることもあります。

足のむくみの背景には、全身の病気が隠れていることがあります。下記が主な治療法と対策になりますが、医療機関でご相談されることをおすすめします。
1)薬物療法
むくみの原因に応じて、利尿剤や抗炎症薬などの薬物療法が行われることがあります。利尿薬は体内の余分な水分を排出し、むくみを軽減します。甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンの薬(チラーヂンS®)を、血栓症では抗凝固薬を用いるなど、原因によって治療薬は異なりますので、医師とご相談ください。
2)生活習慣の改善
心臓病や肝硬変などの場合は塩分や水分を控えるなどで、むくみの改善が期待できます。運動不足の場合は適度な運動が有効な場合があります。
3)医療用着圧ソックス
医療用の着圧ソックスを使用することで、むくみの改善が期待できます。医師の指示に従って使用することが推奨されます。
【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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