高尿酸血症 ~ビール以外のアルコールにも注意~
「お酒飲みは痛風になる」…こんなお話を耳にしたことがおありかと思います。プリン体を摂りすぎると血液中の尿酸値があがり、痛風につながります。
プリン体というとビールに多く含まれるというイメージをお持ちではないでしょうか?確かにプリン体カットという表示のあるビールや発泡酒などをご覧になったことがある方も多いかと思います。
ウイスキーや焼酎はプリン体をほとんど含みませんが、アルコール自体が尿酸の産生、尿から尿酸排泄阻害、利尿作用による尿酸の濃縮などから、尿酸値を高めるとされています。そのため、プリン体が少ないとはいえ、尿酸値の管理には注意が必要です。
では、各種アルコール飲料の影響を見てみましょう。
・ビール
ビールにはプリン体が多く含まれているため、尿酸の生成を促進します。さらに、アルコールの成分が尿酸の排泄を妨げるため、尿酸値の上昇に悪影響を及ぼします。また、地ビールと一般的なビールのプリン体含有量に違いがあるのは、使用する原材料、発酵方法、製造工程、そして地ビールには特定のフルーツやスパイスなどの副原料の使用などが影響するようです。
・ワイン
ワインは比較的少量のプリン体しか含まれておらず、尿酸値を上昇させにくいという意見もあります。アルコールの作用により尿酸の濃度を上昇させることがありますので、適量の飲酒にとどめておくほうがよいでしょう。
・蒸留酒(焼酎、ウイスキー、ウォッカ、ジンなど)
蒸留酒にはほとんどプリン体が含まれていません。ただし、アルコール自体に尿酸値を上昇させる作用があるため、大量に飲酒することは避けましょう。
表1.アルコール別プリン体含有量一覧
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版より引用、一部改変
尿酸値が高いと言われた場合には、アルコール自体の量もほどほどにするよう気をつけるとよいでしょう。また、飲酒なさった際には、お水やお茶などでの水分摂取を行うと血液濃縮による尿酸上昇を緩和することができます。
【監修医】
本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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本記事は一般情報です。診断・治療は必ず医師の診察をお受けください。