2025年初めの感染症の流行予測
2025年1月現在、インフルエンザA型が大流行しています。インフルエンザと新型コロナウイルス(COVID-19, SARS-CoV-2)を中心とした呼吸器感染症の現状と、冬から春にかけての今後の流行予想を紹介します。
1.インフルエンザの感染状況と予測
インフルエンザ蔓延による学級閉鎖や学年閉鎖が多く報告されていますが、国立感染症研究所によりますと、2024年11月から増加し始めたインフルエンザA型は12月から急激な拡大が続いており、2025年1月初めの時点では以下のような流行状況です。
【流行している株】
☆ A型 H1 PDM09(大半を占める株)
H3
B型 ビクトリア系統
現在、A型の感染が広く蔓延しています。少しずれはあるかもしれまないものの、1月半ばころにかけてピークを迎える可能性があります。一方、B型が散発的に見られるようになってきているため、B型は今後感染者数が増加する可能性があります。
一般的にインフルエンザA型は大流行をきたしやすいという特徴があります。A型が流行のピークを過ぎたとしても、発熱やだるさなどが見られた際にはインフルエンザを疑わざるを得ない状況はしばらく続きます。インフルエンザの感染者数が多い状態は数週間続くと見込まれるため、しばらくの期間はインフルエンザに注意が必要でしょう。また、「A型に感染した後、B型にかかる」、つまり1シーズンで2回インフルエンザにかかることもあるため、A型にかかったからインフルエンザはもう大丈夫と油断しないでください。
2.新型コロナウイルスの感染状況と予測
医療現場の実感からは、新型コロナウイルス(COVID-19, SARS-CoV-2)は12月頃から陽性率が徐々に上昇してきています。東京都保健局の統計でも2024年12月に報告数の増加を認めており、2025年1月現在では陽性者が散発的に見られる状況です。
今後については、インフルエンザA型の流行が終息していくに従って、新型コロナウイルスの感染が再び拡大する可能性があります。流行が懸念されている新規変異株であるXEC株については、「XEC株-2025年冬に増加するコロナ変異株-」をご覧ください。
なお、高齢者では新型コロナウイルスで重症化する例は現在でも見られています。高齢であることが重症化にかかわる大きな危険因子と考えられていますので、ご高齢の方やご高齢の方と同居されている方は特にご注意ください。2025年1月時点で国内で接種を行っておりますワクチンについては、「JN.1コロナワクチンの比較」をご参考になさってください。
表.2025年初めの感染症の流行予測
3. その他の感染症の状況
インフルエンザや新型コロナウイルス以外に目をうつすと、マイコプラズマ肺炎をきたすマイコプラズマ感染症は11月をピークにして減少傾向にありますが、依然として報告数は多い状況です。また、一般的なかぜも流行しており、特に咳や鼻水(鼻汁)、鼻づまり(鼻閉)を伴うような感冒も頻繁に見られます。
日本の周辺国では、中国で季節性インフルエンザ、RSウイルス、ライノウイルス、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)を含めた呼吸器感染症の増加が報告されているとWHOが発表しています。ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は昨今報道でとりあげられていますが、ウイルスの詳細は「ヒトメタニューモウイルスについて」をご覧ください。
4.感染対策の徹底を
感染症の予防には、石けんを用いた手洗いやアルコールによる手指消毒、うがいなどの基本的な感染対策が有効です。一つの感染症が減少したと思えば別の感染症が拡大することが多いので、この冬は十分体調管理を行うようにしましょう。