JN.1コロナワクチンの比較
2024年10月1日からの新型コロナウイルス(SARDS-CoV-2、COVID-19)のオミクロン系統JN.1株対応ワクチンの公的接種が開始されます。JN.1株対応のコロナワクチンは5種類となり、これまでで最も多い種類のワクチンが接種に使用されることとなります。
3-1.ワクチンの種類
3-2.有効性
3-3.副反応
オミクロン系統XBB.1.5株対応のコロナワクチンは、ファイザー社、モデルナ社、武田薬品工業社の4社のワクチンが使われていました。JN.1株対応のコロナワクチンはMeiji Seikaファルマ社からも発売されることになり、5種類のコロナワクチンが使用されます。国内メーカーの3社はいずれも、インフルエンザワクチンでも製造や販売に実績のあるメーカーです。
消費者にとって選択肢が増えることはよいことだと言えるでしょう。
表1.JN.1株対応コロナワクチンの一覧
2024年9月まではXBB.1.5対応の1価ワクチンが接種されていました。一方、2024年10月からはJN.1対応の1価ワクチンが接種されます。以前は2価ワクチンといって2種類の変異株に対するワクチンを用いていましたが、1種類の変異株に対するワクチンの方が有効性が高いとされ、2023年秋以降は1価ワクチンになっています。
表2.公的接種のワクチンの流れ
図1をご覧ください。XBB.1.5はXBB株から派生した変異株である一方で、JN.1株はBA.2.86から派生した変異株と、同じオミクロン系統でも異なる株です。JN.1株は、2024年夏に日本でも大流行したKP.3株の上流にある変異株です。JN.1対応ワクチンは、直近に流行した変異株により近い株に対応するワクチンということになります。
図1.オミクロン系統変異株の模式図
表3は、5種類のJN.1ワクチンの比較したものです。スマホでご覧になる場合は、図を拡大してご覧ください。
ファイザー製コミナティ、モデルナ製スパイクバックス、第一三共製ダイチロナは、これまでコロナワクチンとして最も使用されてきたmRNAワクチンです。武田薬品(ノババックス)製のヌバキソビッドは唯一の不活化ワクチンで、中でもB型肝炎ウイルスワクチンなどでも用いられている組換えタンパクワクチンという種類にあたります。SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の遺伝子をもとに作られた組換えタンパク質をナノ粒子化した製剤で、組換えタンパク質に対する抗体が体内で作られます。Meiji Seikaファルマ製のコスタイベは、従来型のmRNAワクチンを進化させた次世代mRNAワクチン(レプリコンワクチン)と呼ばれるものです。mRNAが体内で複製されるように設計されており、従来のワクチンよりも少ない有効成分量で高い中和抗体価を維持するのが特長とされています。
表3.JN.1株対応コロナワクチンの種類と特徴
有効性は、接種後のコロナ発症率の低下や、さまざまな変異株に対する中和抗体価の上昇で評価されています。それぞれのワクチンにおいて接種した治験参加者の背景などが同一ではないため、それぞれのワクチンが示す有効性の指標(どの程度中和抗体価が上昇したか、など)をワクチン間で単純比較することはできません。どのワクチンも厚生労働省が有効性を認めている、という認識を持つ程度が妥当でしょう。
表3に示す副反応は12歳以上で見られたものをまとめたもので、各ワクチンのインタビューフォームを参考にしました。なお、コスタイベのみインタビューフォームが公開前でしたので、添付文書を参考にしています。
これまで少なくとも一度はmRNAワクチンを接種したことがある方は多いのではないかと思います。副反応の頻度としては、皆様のこれまでのご経験とあまり変わらないレベルと考えてよいでしょう。
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