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下痢の原因と治し方-食事の注意と使う薬-

1.下痢の原因

2.下痢の診断法

3.下痢の治療法

4.下痢の予防策

 

 

はじめに

 下痢の種類は、腸管の運動の異常により起こる急性下痢、下痢の症状が長期間続く慢性下痢と大きく二種類に分けられ、その原因は感染症からストレスまで多岐にわたります。ここでは、下痢の原因や対処法、そして予防策について解説します。

 

1.下痢の原因

 主な原因を以下に挙げます。

1)  感染症

・ウイルス性

 ロタウイルスやノロウイルスなどは特に冬に流行するウイルスで水のような下痢を呈します。また、新型コロナウイルスで下痢の症状がみられることもあります。その他にも下痢になるウイルスはありますが、数日以内に改善することが多いため、検査でどのウイルスかを特定することはほぼありません。

・細菌性

 サルモネラ菌やカンピロバクターなど、食中毒を引き起こすような細菌によるものです。

 

 

2) 生活・食事

・食品アレルギー

 アレルギー体質であると、特定の食品を食べることでアレルギー反応が起こり、下痢をすることがあります。

・過敏性腸症候群(IBS

 日常のストレスや食事が原因で腸が過敏になり、下痢を繰り返します。朝起きた後や、通勤時や通学時におなかの痛みや下痢が見られるなどが典型的な症状です。

 

 

・消化不良

 牛乳などに含まれる乳糖(ラクトース)を体内で適切に消化しきれない乳糖不耐症など、特定の食物を消化する酵素が不足している場合に下痢を引き起こすことがあります。

・お酒の飲みすぎ

 アルコールが肝臓や腸に影響を及ぼすことで下痢が出やすくなります。お酒を飲まない日には下痢が見られなくなると、お酒が原因の可能性が高くなります。

3) 薬剤の副作用

 抗生物質などが、腸内の正常な細菌バランスを崩してしまい、下痢を引き起こすことがあります。

4) 慢性疾患

 炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)のような慢性的な腸の病気が下痢を引き起こすことがあります。

 

2.下痢の診断法

 下痢の原因を特定するためには、以下のような診断方法があります。

1) 診察

 診察では、詳しい症状の内容や食事、生活習慣、病歴についての質問があります。また、お腹を触って痛みなどがないかを確認する触診や、お腹の音を聞くことで腸の動き程度を確認する聴診をします。

 

 

2) 便検査

 大人の下痢において大半の場合で、便の検査をすることはありません。高熱が続いている、または入院しているなど特殊な場合に、便の中のウイルス、細菌、寄生虫を検査し、感染症の有無を確認することがあります。

3) 血液検査

 炎症性腸疾患など特殊な病気を疑う場合に限り、血液中の炎症反応などを確認するために行われることがあります。

4) 内視鏡検査

 腹痛や血便を伴うなど、クローン病や潰瘍性大腸炎などが疑われる場合に、大腸や小腸の内部をカメラで直接観察することで炎症や潰瘍の有無を確認します。

 

 

 

3.下痢の治療法

下痢の治し方は原因に応じて異なります。以下に主な治療法を紹介します。

1) 水分補給

 下痢による脱水を防ぐために、十分に飲み物を摂取することが大切です。また、水分とともにナトリウムやカリウムといった電解質が不足するため、OS1などの経口補水液(ORS)やスポーツドリンクがおすすめです。

 

 

2) 食事療法

 下痢の症状が強いときは、水分やゼリー、ペースト状のものなどであれば、下痢は悪化しづらくなります。おかゆなど水分の割合が多く、一つ一つの大きさが小さいものは次に消化がよいものとなります。消化に良い食品などで、しっかりと栄養を取るとともに、腸を休めることが大切です。

 食べると悪いものは、ラーメンなど、脂肪が多くカロリーの高いものや、食物繊維の多い食品、コーヒーや辛いものといった刺激のあるものなどで、できるだけ避けるようにしましょう。

3) 薬物療法

 一般的には腸内の細菌環境を整える整腸剤が処方されます。また、症状が強い場合には、止痢薬(下痢止め)も処方されることがあります。また、細菌性が疑われる場合には、抗生剤が処方されることがあります。一方、過敏性腸症候群が疑われる場合には、腸の動きを調整する薬を用います。

4) 生活習慣の改善

 ストレスを軽減し、自律神経を整え、規則正しい生活を心がけましょう。睡眠をしっかりとり、オフの時間も作ったり、趣味を楽しんだりすることがよいでしょう。

 

4.下痢の予防策

 下痢を予防するためには、以下の対策が有効です。

1) 手洗いの徹底

 外から帰ってきたときや、トイレの後、食事の前は石鹸を使い、しっかりと細菌やウイルスを洗い流すことが大切です。

2) 食品の衛生管理

 加熱用の食材は加熱不足が無いようにし、また、食材の保存に注意を払いましょう。また、汚染されたまな板の上で調理したものを食べると下痢をすることがあるので、まな板や包丁なども洗ってから使うようにしましょう。

 

 

3) 適切なワクチン接種

 子供に多いウイルス性胃腸炎の原因となるロタウイルスは、予防接種を受けることで、胃腸炎による下痢の重症化を予防することができます。お子さんがいらっしゃる場合は、ご検討ください。

 

おわりに

 下痢は誰しもが経験するお腹の不調ですが、対処と予防策をしっかりと行うことで、下痢が起こりづらくなります。もし下痢が長く続き止まらない場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

 

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