糸球体とボーマンのう~腎臓のミクロな構造~
2.糸球体と尿細管
腎臓のつくりはどうなっているのでしょうか。ここでは、ミクロな組織を見ていきます。1つの正常な腎臓には、ネフロンという尿を作る構造が約100万個あります。腎臓は左右の腰のやや上の位置に1個ずつ、合計2個ありますので、1人あたり約200万個のネフロンを持っているということになります。ネフロンというのは、尿を作る糸球体と、作った尿から水や体にとって大事な栄養を再吸収する尿細管とがセットになったものを指します。また、糸球体を包むものをボーマンのう(ボウマン嚢)と呼びます。糸球体とボーマンのうをあわせて腎小体と呼びます。

腎臓に流れてきた血液をキレイにするため、輸入細動脈という血管を通って糸球体という毛細血管の張りめぐらされた場所に血液は運ばれます。糸球体では血液から尿がろ過されて作られ、血液自体は輸出細動脈を通って静脈へ流れていきます。この最初に作られる尿を原尿と言いますが、原尿は尿細管を通る中で、大事な水分や栄養を再吸収していくのです。例えば体に水分が足りていなければ水分は多めに再吸収され、逆に体内の水分が十分すぎる場合にはそこまで再吸収しないような構造になっています。なお、ボーマンのうは、糸球体と糸球体によりろ過された尿を包み込んでいます。ネフロンの模式図をわかりやすく下の図でまとめました。

腎臓の働きは、必要なものが多い場合は再吸収を多くし、必要なものが少ない場合には尿として排泄するものを多くするということになります。ちなみにですが、糸球体は複雑な構造をとっており、損傷を受けて一度壊れてしまうと再生はできません。一方、尿細管上皮細胞は再生されますので、尿細管がダメージ受けた後しばらく時間が経過した状況であれば、再生した尿細管上皮を見ることができます。とはいえ、尿細管も損傷がはなはだしいと元には戻らず、線維化といい荒れ果てた跡のような状態となります。

図は腎機能低下の際の模式図を示しています。壊れてしまって修復できないネフロンがある一方、炎症や薬剤の影響などで多少の負担がかかっているものの治療により改善できるネフロンもあります。
4.腎機能改善を目指して―治療の目標とは―
このような尿を生成する過程があることを踏まえると、腎機能が悪いと言われた際には、糸球体に問題があるのか尿細管やそれを取り巻く間質に炎症などの問題があるのかを考えることになります。様々な検査、症状の経過から、腎臓の構造の中のどこに異常があるのかを見分けていくわけです。
【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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本記事は一般情報です。診断・治療は必ず医師の診察をお受けください。









