帯状疱疹ワクチンの高齢者定期接種のご案内
帯状疱疹は、過去に水ぼうそう(水痘、読み方:すいとう)にかかったことがある方なら、どなたでも発症する可能性がある病気です。特に50歳以上の方は帯状疱疹を発症するリスクが高く、強い痛みや長期間にわたる神経痛を引き起こすことがあります。
このたび、2025年4月(令和7年4月)より帯状疱疹ワクチンが定期接種化されることとなりました。これにより、対象となる方は従来よりも自己負担の少ない費用で接種を受けられるようになります。ここでは市川市での助成額を主に説明します。市川市以外にお住まいの場合には、本ページも参考にしつつ、お住まいの自治体の情報をご確認ください。
帯状疱疹は重症化と後遺症に注意
帯状疱疹は、水ぼうそうの原因ウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、加齢や疲労、ストレスなどによる免疫力の低下をきっかけに再活性化し、発症する病気です。主に体のどちらか片側の神経に沿って赤い発疹や水ぶくれが現れ、ピリピリとした強い痛みを伴います。耳の周辺で起こると、顔の片側に麻痺が生じて動かなくなる顔面神経麻痺や難聴をきたすことがあります。額(おでこ)や眼の周辺に帯状疱疹が起こると、眼の角膜やぶどう膜に炎症が起こり、視力低下をきたすことがあります。こうした顔に起こる場合や、がんや白血病、腎不全、免疫をおさえる薬を使用中で免疫力が低下した状態では、重症化の危険性が高くなります。また、発症した際には重症化しなかった場合でも、長期間にわたる後遺症が残る場合があります。後遺症の例としては、ピリピリとした神経痛が残ったり、突然出現する刺すような痛みで悩まされたりすることがあります。
帯状疱疹ワクチンの定期接種化について
2025年4月より、65歳以上の高齢者に対する帯状疱疹ワクチンの定期接種が開始されます。なお、市川市では、2025年7月初旬より接種券を発送予定とのことです。接種券の発送時期は
定期接種の対象者
市川市では、接種日時点で市川市に住民登録にある、生年月日が下記の方です。
表.2025年度に公費助成を利用できる方
・ざっくりと、65歳以上の方については、歳ごとの年齢層(70歳・75歳・80歳・…など)が対象です。100歳以上の方は5歳きざみの制限はなく、一律公費助成で接種を受けられます。
・65歳以上で上記に該当しない方も(例えば66歳の方)、この公費助成は5年間継続する予定のため、5の倍数の年齢になった際に公費助成を利用できます。
・100歳以上の方については、2025年度に限り全員対象となります。
・60歳以上65歳未満で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方も対象ですが、事前に市川市に申し込みが必要です。
自己負担額の軽減
定期接種の対象となる方は、従来よりも低い自己負担額でワクチンを受けることができます。下記の表は市川市の助成額と自己負担額を比較したものです。
表. 現行と令和7年4月以降の助成額と自己負担額の比較(市川市の場合)
注:
- ワクチン費用は医療機関によって異なる場合があります。表の金額は参考額とお考えください。
- 現行の助成額は、2025年3月時点での市川市の「帯状疱疹ワクチン費用助成について」を参考にしています。
- 2025年4月以降の助成額および自己負担額は、市川市の「令和7年度 高齢者帯状疱疹定期予防接種について」を参考にしています。
- 生活保護受給者および世帯全員が非課税の方は、自己負担が免除される場合があります。
- 自己負担額はお住まいの自治体によって異なります。例えば千葉市では、一番下の行の1回あたりの自己負担額は、不活化ワクチン 10,000円、生ワクチン 4,000円です。
帯状疱疹ワクチン接種希望のある50~64歳の方はどう考えればよいですか
50歳~64歳の方は現行の助成制度を利用することはできますが、高齢者定期接種の対象には入っておりません。64歳であれば1年待てば新たな高齢者定期接種制度を利用できるのですが、63歳以下であれば2年以上待つこととなります。もう一つ考えるべき点は、現行の助成制度自体がいつまで継続するのかは未知数であるという点です。下記の例のように、いくつかの自治体では現行の50歳以上の接種助成制度が終了となることが発表されています。
例:・鎌ヶ谷市 2025年3月31日で現行制度終了(2025年3月31日までに1回目を接種していれば2回目も費用助成あり)
・我孫子市 2025年9月30日で現行制度終了(おそらく2回目の接種を2025年9月30日までに終える必要あり)
現行の費用助成が終了となっている地方自治体があること、助成制度の終了時期を頻繁に確認することが負担になることも踏まえれば、接種希望がある場合には早めに接種を終えるほうがよいかもしれません。
2025年度の定期接種対象に該当しない高齢者(例えば、66歳や71歳の方など)はどうすればよいですか
2025年4月から、65歳以上の方でも5の倍数にあたる方は、公費助成を受けて対象の方の自己負担額が大幅に軽減される予定です。しかし、たとえば現在66歳の方は助成の対象になるまで4年間も待つ必要があり、71歳の方も同様に4年間待たなければなりません。1年間待つということも長いと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、年齢が上がると帯状疱疹の発症率があがっていくため、年単位で公費助成を待つことに抵抗を感じる方も少なくないでしょう。50歳以上の助成制度が利用できる間に接種を完了させて、帯状疱疹の発症や重症化を抑制するほうが安心と感じる方も多くいらっしゃることと思います。
ワクチン接種を迷う場合にはどうすればよいですか
免疫が落ちる、ストレスが多いといった状況が既にある、あるいは想定される、血縁のご家族に帯状疱疹を発症したことがある方がいるなどの場合、現行の50歳以上の公費助成制度を利用して接種するほうがよいかもしれません。ワクチンの意味を考えると、接種したい時に接種するというのがよいのではないかと思います。一方、コストが気になる方は、65歳以上の5の倍数の年齢で接種する、新たな公費助成制度を利用するのがよいでしょう。なかなか決断がつかないという場合には、主治医の先生などに意見を聞いてみるということも一つと思います。
帯状疱疹は加齢とともにリスクが高まります。長寿社会では必然的に増加していく疾患であるため、ご希望の方は発症を防ぐためにも早めの接種を検討するのがよいでしょう。なお、助成制度については時期や自治体ごとに異なりますので、お住まいの自治体の最新情報をご確認ください。