アメリカでインフルエンザ/コロナの感染が拡大しつつある
アメリカ(米国)の各州では2022年10月になり、インフルエンザ様症状の頻度が急速に増加してきています。米CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の統計によると、2022/10/2-8の1週間でインフルエンザ様症状を認めた頻度は図1に示す通りです。

地図の中央下の方のテキサス州、右下のジョージア州が赤くなっており、インフルエンザ様症状頻度が高いことがわかります。一方、その1週間後の2022/10/9-15の1週間でインフルエンザ様症状を認めた頻度を見てみましょう。

明らかに赤色の州、つまりインフルエンザ様症状が高頻度(high)の州が増えていることがわかります。特に東海岸はジョージア州を中心にして感染が拡大している様子が見て取れるでしょう。
インフルエンザ様症状とは、発熱やのどの痛み(咽頭痛)、咳(咳嗽)、痰(喀痰)、頭痛、関節痛(関節の痛み、節々の痛み)、鼻水(鼻汁)、筋肉痛、だるさ(倦怠感)などを指します。これを見ると、新型コロナウイルス感染症で見られる症状にきわめて似ていることがお分かりになるかと思います。インフルエンザやコロナ以外のかぜでは、一般には関節痛や筋肉痛はほぼ起きません。つまり、インフルエンザ様症状というと、インフルエンザか新型コロナウイルスか、どちらの感染かがわからないということなのです。
余談ですが、この統計の取り方は解釈が難しいといえます。2020年前半のコロナ感染が始まった時、アメリカではコロナ感染が急速に拡大し、死者数が増加しました。インフルエンザとコロナは見分けがつきにくいがために、この統計だけで解釈しようとしたため初期対応が遅れてしまったことがあるかもしれません。

話が脱線しましたが、この統計はアメリカ全土を見ていることと、リアルタイムの情報を反映していることで意味のある情報です。図1・2の違いはインフルエンザの感染拡大を示しているのか、あるいは新規変異株の蔓延を示しているのか、両者が重なっているのかなどの可能性が考えられます。
2022年10月時点でのアメリカ国内の新型コロナウイルスの感染状況としては、BQ.1株、BQ.1.1株(通称 ケルベロス株)、BF.7株の割合が増加しています。一方、世界に目を移すと、9月にはシンガポールでBA.2.75株(通称 ケンタウロス株)からXBB系統(通称 グリフォン株)に置き変わりが進むとともに感染者数の増加が見られています。フランス・ドイツ・イタリアでも感染者数の増加を認めており、新規変異株による第8波が予断を許さない状況です。
日本ではBA.1対応のオミクロンワクチンがBA.4/BA.5対応のオミクロンワクチンにかなり迅速に切り替えが行われ、いつ第8波が来るのかを心配されている方もいらっしゃることと思います。2022年末、すなわち年内からインフルエンザとコロナ第8波の同時流行の危険性が高まっている可能性がありますので、最新情報にご注意ください。
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【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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