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【コロナ】オミクロンワクチンの効果と副反応/副作用-ファイザー・モデルナとBA.1とBA.4/BA.5の比較ー

1.日本で接種可能なコロナワクチン

2.生後6ヶ月~4歳もワクチン接種可能に

3.2022年はオミクロン株の1年だった

4.オミクロンワクチン(BA.1対応とBA.4・BA.5対応)

5.ファイザー製ワクチンの副反応の比較

6.ファイザー製・モデルナ製のオミクロンワクチンの副反応の比較

 

 

1.日本で接種可能なコロナワクチン

 日本で公的接種(現時点で無料接種)として接種可能な新型コロナウイルス(COVID-19)に対するワクチンには、2022年10月現在の日本において、厚生労働省で検討中のものを含めると表1に挙げる4種類があります(参考 厚生労働省「新型コロナワクチンの有効性・安全性について」)。ファイザー/ビオンテック社の「コミナティ」、モデルナ社の「スパイクバック」、武田薬品工業・ノババックス社の「ヌバキソビッド」、アストラゼネカ社の「バキスゼブリア」です。

 

表1.日本で接種可能なコロナワクチンの種類と接種対象・接種間隔

 

 それぞれ接種回数に応じて、接種対象者が変わります。3回目以降に抗体価をあげるための、いわゆるブースター接種として接種できるのは、ファイザー製、モデルナ製、武田薬品製の3種類です。また、オミクロン株対応ワクチンとしては、ファイザー製、モデルナ製のBA.1株対応ワクチンが2022年9月より接種開始となっています。BA.4/BA.5株対応ワクチンは、ファイザー製が接種開始となり、モデルナ製も2020年10月中旬の時点で申請済みとなっています。ここでは、接種対象や効果、副反応などをまとめた情報をご紹介します。

 

2・生後6ヶ月~4歳もワクチン接種可能に

 これまでファイザー製ワクチン「コミナティ」の接種対象は、5歳以上となっていました。この度、生後6ヶ月~4歳の小児にも対象が拡大されることとなりました。5歳以上と同じ筋肉内注射で、コロナワクチン同士の接種間隔は下記の通りです。

 【生後6ヶ月~4歳のコロナワクチン接種間隔】

  ・1→2回目 通常、3週間

  ・2→3回目 8週間以上

 では、コロナワクチンとコロナ以外のワクチンとの接種間隔をどうすればよいのかを説明いたします。

 

コロナワクチン接種に別のワクチンを接種する場合

 必要な予防接種の多い4歳以下も接種可能となったことで、接種スケジュールをどうすればよいかが気になるところです。コロナワクチン接種の後に別のワクチン接種を考えている場合は、図1をご覧ください。まず、コロナワクチンとインフルエンザワクチンについては同時接種も認められておりますので、同時でも翌日以降の接種でも接種間隔を気にする必要はありません。翌日接種など近い日程での接種を考えていらっしゃる場合には、「新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種」に注意点をご案内していますので、こちらの記事もお読みください。一方、インフルエンザ以外のワクチンについてはコロナワクチン接種2週間後以降、つまり最短で2週間後の同じ曜日に接種可能となります。

 

図1.コロナワクチン接種後に他のワクチンを接種する際の接種間隔

 

コロナワクチン接種に別のワクチンを接種する場合

 一方、コロナワクチン接種前に別のワクチン接種を検討されている場合は、図2をご覧ください。注射生ワクチンを接種した後にファイザー製やモデルナ製のmRNAワクチンを接種する場合の接種間隔は、現時点では明確なものがありません。現状では、十分な日数をあけることが無難と考えられます。

 

図2.不活化ワクチン・生ワクチン同士の接種間隔(厚生労働省のHPより引用)

 

 なお、図2で記載されている注射生ワクチン、経口生ワクチン、不活化ワクチンには、下記のようなものがあります。

図2補足 ワクチンの種類
・注射生ワクチン:麻しん風しん混合ワクチン・水痘ワクチン・BCGワクチン・おたふくかぜワクチン など
・経口生ワクチン:ロタウイルスワクチン など
・不活化ワクチン:ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・B型肝炎ワクチン・4種混合ワクチン・日本脳炎ワクチン・季節性インフルエンザワクチン など

 

3.2022年はオミクロン株の1年だった

図3.オミクロン株の感染拡大期における東京都の新型コロナウイルス陽性者数の推移(東京都のHPより引用、一部改変)

 

 2022年はオミクロン株の年だったといってよいでしょう。BA.2~BA.5の各株はBA.1株の亜系統(派生型)です。夏に日本で蔓延したBA.5株はどこで、いつから見られるようになったかといいますと、2022年4-5月に南アフリカなどでBA.4株、BA.5株は感染拡大を認めていました。その後BA5株は世界的に拡大し、日本のみならず、欧米やオセアニア、韓国などでも感染拡大を認めました。

 さて、今年の日本に目を移すと、日本では2-3月のいわゆる第6波ではBA.1株を中心に感染が拡大し、7-8月のいわゆる第7波ではBA.5株を中心に感染が拡大しました。図3では東京都における過去1年間の新型コロナウイルス陽性報告者数を示しています。BA.5株は感染力が強く、陽性者数は過去の第6波と比べても急増しました。臭いがわからなくなる嗅覚障害や味がわからなくなる味覚障害といった後遺症は以前の感染蔓延期にも認めていましたが、第7波ではのどの痛み/咽頭痛や咳/咳嗽、だるさ/倦怠感、胸の痛み/胸痛などの症状が長引くことが特徴的でした。また、オミクロン株の潜伏期間は約3日間と短く、BA.1株までは感染した契機(どこで感染したか、だれから感染したか)がわかることが比較的多かったと言えます。一方、BA.5株が中心の第7波では感染経路不明の方が大半であり、家庭内感染や合宿・高齢者施設でのクラスターなどといった集団感染以外は感染経路がわからないことも特徴の一つでした。

 

 

 2022年10月になり、アメリカではBA.5株の派生型である、新規変異株 BQ.1株やBQ.1.1株、BF.7株の割合が急速に増加しています。新規変異株はドイツや韓国でも検出され、感染力がBA.5株よりも高い可能性が懸念されているところです。2022年から2023年にかけての年末年始以降の時期に第8波となる可能性やインフルエンザと同時流行する可能性がありますので、十分ご注意ください。

 

4.オミクロンワクチン(BA.1対応とBA.4・BA.5対応)

 欧米各国ではマスク着用義務がなくなり、マスクなしでの海外の画像や映像をご覧になる機会が多かったとことと思います。ワクチンを接種する、あるいはこれまでに感染したことがあり既存株への抗体を持っている方の割合が増えることで、徐々にコロナ禍前の生活に戻す時期にあると各国政府が考えていると思ってよいでしょう。同じく変異の多いウイルスとしてインフルエンザウイルスがありますが、インフルエンザもワクチンで重症化を抑える方策をとっています。私はインフルエンザワクチンを打たないですとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、感染拡大が起きて社会を揺るがしうる場合にはワクチン導入や接種率向上の検討がこれまでもなされており、日本政府の例を挙げると、2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1)の際にもワクチンによる対応の検討がなされていました(参考:内閣官房のURL)。つまり、ワクチンを接種することで重症化を抑制し、急な感染拡大を抑えることを日本も各国も考えているということになります。

 海外渡航に際しては、PCR検査の陰性証明書提出が不要になる国が増える一方で、コロナワクチン接種証明書を求められる、ワクチン接種証明書があると追加検査が不要になることが増えてきました。旅行やお仕事で海外にいく可能性がある場合には、計画的にワクチン接種を済ませておく方が負担が少なくなるだろうと思われます。

 

表2.従来型コロナワクチンとオミクロンワクチンの違い

 

 オミクロン株対応ワクチンのうち、BA.1株対応ワクチンが本邦では2022年9月より接種が開始となりました。BA.1株対応ワクチンは、前回接種日より5カ月以上あけると接種が可能となっていますが、今後の感染状況などにより変更となる可能性があります。また、BA.4/5(BA.4/BA.5、BA.4-5とも書きます)株対応ワクチンも10月中旬に接種開始となります。

 

 

 BA.1対応ワクチンもBA.4/5対応ワクチンも2価ワクチンです。2価ワクチンとは2つの成分が含まれているということで、例えばBA.1対応ワクチンでは従来株に対する成分とBA.1株に対する成分の両方が含まれているということになります。これに対して、従来型のワクチンは従来株に対する成分のみなので、1価ワクチンと呼びます。

 このように複数株に対するワクチンは、インフルエンザウイルスに対する4価ワクチン、肺炎球菌に対する23価ワクチンまたは13価ワクチンなど、一般的に多く用いられているものです(参考:当院ブログ「2022年のインフルエンザ流行予測-大流行・コロナ同時流行はあるのか-」)。こうした他の病原菌・ウイルスに対する経験もあるため、抗体の誘導に伴う抗体価上昇を踏まえると、BA.1対応ワクチン、BA4/5対応ワクチンともに、有効性は従来型より増すだろうということが考えられています。

 

5.ファイザー製ワクチンの副反応の比較

 ファイザー製はBA.4/BA5対応ワクチンが接種可能となり、モデルナ製BA.4/BA5対応ワクチンも今後接種可能になる可能性が高いと考えられます。まず、ファイザー製ワクチンの副反応(ワクチンでは、薬でいう副作用のことを副反応といいます)について、表3では添付文書の比較をまとめています。

 

表3.ファイザー製ワクチンの副反応の比較(従来型・オミクロン対応)

 

 接種部位反応といわれる、接種部位の痛み(疼痛)、赤くなる変化(発赤)、腫れ(腫脹)については高頻度で見られるとみてよいでしょう。その他、頭痛やだるさ(疲労・倦怠感)、寒気(悪寒)、発熱、筋肉痛・関節痛というのはインフルエンザやコロナを発症したときの類似の症状であり、多くは数日以内で改善します。注意すべきはリンパ節の腫れ(※)であり、おそらくこの頻度は初回接種に関するものでしょう。3回目以上の接種になると、接種した側のワキ(脇/腋窩)、鎖骨の上(鎖骨上窩)、首(頚部)のリンパの腫れが見られる頻度が多くなります。詳細は、当院の診療案内の中の「3回目ワクチン接種の副反応-ワキの痛みと腫れ・脇のリンパ節腫脹-」や「痛くない首のしこり~リンパ腫の可能性も~」もご覧ください。BA.1対応やBA.4/5対応ワクチンの接種では、データを集めている段階で初回接種となっていない可能性が高く、リンパ節の腫れの頻度が増していることが考えられます。

 こうしたことを踏まえると、BA.1対応ワクチンやBA.4/5対応ワクチンでも副反応は従来の1価ワクチンと比較して概ね変わりないだろうと思われます。

 

図4.皮膚の発赤

 

6.ファイザー製・モデルナ製のオミクロンワクチンの副反応の比較

 現在、BA.1対応の2価ワクチンとして、ファイザー製、モデルナ製が公的接種が可能となっています。どっちのワクチンがよいのか、迷われている方も多いと思いますので、副反応の比較を表4でお示しします。

 疲労(だるさ・倦怠感)はファイザー製では10-50%となっていますが、添付文書では表3のように66.0%となっています。これは統計のとり方によるもので、ある時には50%以上だったが別の時期に統計をとると10-50%となったということでしょう。リンパ節症(リンパ節の腫れ、など)についても同様です。

 

表4.ファイザー製とモデルナ製の2価ワクチン副反応の比較(厚生労働省のHPより引用)

 

 現時点では概ね、従来型のワクチン接種時の副反応と大差はないとみてよいような結果です。もし最新情報があれば、そちらもチェックされるようにしてください。

 

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