2025-26年のコロナワクチン一覧(LP.8.1、XEC対応)
2025年10月1日より、新型コロナウイルス(COVID-19、SARS-CoV-2)に対する公費接種が開始されます。これに伴って、各メーカーのコロナワクチンは最新のものに更新されます。2025-26年シーズンにおいて、コロナワクチンにはどういうものがあるのか、効果や副反応はどのようになっているのかを見ていきたいと思います。
2.各ワクチンの特徴
最近の流行株にあわせ、2025年9月後半に各メーカーは新たなコロナワクチンの発売を開始しました。日本では、2024-25年シーズンと同じ5種類のコロナワクチンが流通する予定です。2025-26年シーズンは今回が初めてというワクチンはなく、いずれも過去の実績のあるワクチンです。
表1.最新のコロナワクチンの比較(2025-26年)
製品名 | コミナティ®筋注 | スパイクバックス®筋注 | ダイチロナ®筋注 | コスタイベ®筋注用 | ヌバキソビッド®筋注 |
製造会社 | ファイザー | モデルナ | 第一三共 | 明治製菓ファルマ | 武田薬品 |
ワクチンの種類 | mRNA | mRNA | mRNA(RBD) | 自己増殖型mRNA | 組換えタンパク |
対応株 | LP.8.1 | LP.8.1 | XEC | XEC | LP.8.1 |
接種量 | 0.3mL(30μg) | 0.5mL(50μg) | 0.6mL(60μg) | 0.5mL(5μg) | 0.5mL(5μg+アジュバント) |
製造国 | 米国 | 米国 | 日本 | 日本 | 日本 |
1バイアルあたりの人数 | 1人/1シリンジ | 1人/1シリンジ | 2人/1バイアル | 2人/1バイアル | 2人/1バイアル |
mRNAワクチン、自己増殖型mRNA(レプリコン)ワクチン、組換えタンパクワクチンに大きく分類されます。種類別に概説していきます。
1)mRNAワクチン
1-1)コミナティ®筋注
・全世界で最も接種実績が多い
・6ヶ月以上で使用可能(6ヶ月~4歳、5~11歳、12歳以上の製剤あり)
・副反応:接種部位の局所反応の他に、発熱16.8%、倦怠感66.0%、頭痛59.4% (出典:コミナティ筋注添付文書 2025年8月改訂)
1-2)スパイクバックス®筋注
・高い中和抗体価の誘導が期待される
・6ヶ月以上で使用可能(6ヶ月〜11歳用、12歳以上の製剤あり)
・副反応:接種部位の局所反応の他に、発熱16.3%、疲労66.8%、頭痛58.7% (出典:スパイクバックス筋注添付文書 2025年8月作成)
1-3)ダイチロナ®筋注
・初の国産mRNAワクチン
・スパイクタンパクの受容体結合部位(RBD)のみを標的とした設計で、必要な部分だけを狙って効率よく免疫をつけることが期待される
・副反応:接種部位の局所反応の他に、発熱34.7%、倦怠感54.6%、頭痛37.1%(出典:ダイチロナ筋注添付文書 2025年8月改訂)
2)次世代型ワクチン
2-1)コスタイベ®筋注用
・最新の技術で世界で初めて作製された自己増殖型mRNA(レプリコン)ワクチン
・有効成分5μg(従来型mRNAワクチンの約1/6〜1/10量)
・体内でmRNAが一時的に自己複製(無限増殖はしない)されることにより、少ない量のワクチンで、より長い期間高い中和抗体価が持続する
・国産ワクチン
・副反応:接種部位の局所反応の他に、発熱20.1%、倦怠感44.8%、頭痛39.0%(出典:コスタイベ筋注用添付文書 2025年8月作成)
3)組換えタンパクワクチン
3-1)ヌバキソビッド®筋注
・B型肝炎ワクチン等で実績のある組換えタンパク技術を使
・Matrix-Mアジュバント添加により免疫応答を増強
・mRNAワクチンでアレルギーがある方も接種可能
・国産ワクチン
・副反応:発熱約15%、注射部位圧痛75%、疼痛62% (出典:ヌバキソビッド筋注添付文書 2025年9月改訂)
アメリカ疾病予防管理センター(英語:Centers for Disease Control and Prevention, CDC)によりますと、図1のように2025年冬から春に感染拡大したLP.8.1株は、夏にかけて大きく減少しています。日本では「カミソリの刃を飲んだようにのどが痛い」と言われ流行しているNB.1.8.1株(通称、ニンバス株)が2025年夏に感染拡大しました。そのニンバス株は6月より増加していますが、それにもましてXFG株が急増していることがわかります。
図1.2024-25年に流行しているコロナ変異株
(アメリカCDCのHPより引用、一部改変)
図2をご覧ください。2025年9月時点で流行中の株は青枠で囲っているものです。2025年10月から公費接種が始まるコロナワクチンの対応株は赤枠で囲っています。
LP.8.1対応やXEC対応ワクチンで効果があるかどうか、というのは図からは読み取りづらいことと思います。コミナティ®筋注のデータでは、過去のワクチンと比べると、新しいコロナワクチンは中和抗体価は現在の流行株で上昇しやすく、起源株では若干上昇しづらくなっています。中和抗体価という観点では現在蔓延している変異株により効果があると考えられるので、時間経過とともに低下した免疫能を、より強い効果のある最新のワクチンで増加させると思ってください。変異株もかなり多種にわたるようになってきているので、みなさまとしては流行株もワクチン対応株もなんとなく上の方にある程度でご理解いただければよいと思います。
図2.コロナ変異株とワクチン対応株
(アメリカCDCのHPより引用、一部改変)
当院では、2025年9月下旬から下記のワクチンをお取り扱いいたします。
【予約必要】
・コスタイベ®筋注用
・ヌバキソビッド®筋注
【予約不要】
・コミナティ®筋注
【予約の注意点】
国産ワクチンのコスタイベとヌバキソビッドは1バイアルが2人分であるため、下記のルールがあります。
・偶数の人数に達しなければ、最後に予約をとった方はコミナティでの接種となります。コミナティに変更となる際にはなるべく事前にご連絡いたしますが、確実なご連絡はお約束いたしかねますので、ご不安な際には来院前に当院までお電話でご確認ください。コミナティに変更となる場合、やはりコスタイベまたはヌバキソビッドをご希望される際には、別の日にご予約をお取り直しください。
・偶数人数でご予約の際、一緒にご予約の方のキャンセルがなければ確実にコスタイベまたはヌバキソビッドの接種が可能です。お電話またはオンラインでご予約の際、ペアの方のお名前もお伝えいただくか、ご記載ください。
・ご予約は前日15時まで、キャンセルは前々日の15時までです。予約前々日15時以降のキャンセルは受け付けておらず、料金が発生いたしますのでご注意ください。
・2025年9月24日時点でコミナティの接種は開始しております。コスタイベ・ヌバキソビッドは10月2日より接種を開始します。コスタイベは火木土、ヌバキソビッドは月金で接種を行います。
・コスタイベとヌバキソビッドは在庫がなくなり次第終了となります。ご希望の方はお早めに接種をお済ませください。
・9月末にはコロナワクチンのオンライン予約可能となる予定です。これよりお早めにご予約をとりたいという際には、お電話でご予約ください。
・インフルエンザワクチンとの同時接種も可能です。インフルエンザ予防接種は予約なしで承っておりますので、コロナワクチン接種当日に接種希望をおっしゃっていただいてもかまいません。
【監修医】
本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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