2023年のインフルエンザの流行ー感染者数報告は9月に顕著に増加ー
1.関東におけるインフルエンザの流行
2023年は9月に入り、爆発的にインフルエンザの感染報告者数が増加しています。図1は関東におけるインフルエンザの流行状況を示したものです。
9月半ばから、1都3県では高いレベルの注意報が発令されています。後半になると、神奈川県でも最も高いレベルの注意報が発令され、茨城県は警報レベルの流行となっています。
図1.2023年9月におけるインフルエンザ流行マップ(国立感染症研究所資料より引用、一部改変)
2.首都圏におけるインフルエンザの流行
1都3県のインフルエンザ感染報告者数をみても、8月の時点で増え始め、流行時期に匹敵するほどです。ここ数年の中でもインフルエンザの報告が圧倒的に多く、特にこの時期の流行は珍しいといえます。
表1をご覧ください。1都3県のうち、千葉県は特に顕著にインフルエンザの流行が見られています。
表1.2023年8~9月の首都圏におけるインフルエンザ報告数
(定点観測データ、厚生労働省資料より引用、一部改変)
3.日本感染症学会の提言
日本感染症学会によりますと、「今年はインフルエンザが流行しやすい時期ではないにもかかわらず流行し始め、流行の規模が大きくなる可能性があることから、インフルエンザの予防接種を推奨する」としています。小児や高齢者、基礎疾患などリスク因子を有する方には、特にインフルエンザワクチン接種を推奨する、としています。
インフルエンザの重症化の危険性だけでなく、2023年は咳止め(鎮咳薬)の供給不足という事情があります。インフルエンザが大流行するようなことがあれば、インフルエンザにかかったとしても十分な治療薬を処方されるか約束されないという、例年とは全く異なった事情があります。日本感染症学会の提言も参考にしつつ、インフルエンザワクチン接種をご検討ください。
【データで見る今年のインフルエンザ】
「千葉県でのインフルエンザとコロナ感染報告の比較(2023年)」