メニュー

2024年初めに感染はインフルエンザA型からコロナへ

[2024.01.11]

 2023-24年はコロナが2類感染症から5類感染症にかわった影響か、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症が蔓延しています。2023年秋には季節外れのインフルエンザA型の大流行があり、まだ終息方向には至っていませんが、2023年12月からはコロナの再増加が見られるようになってきました。過去のコロナの流行(波)の際には、学校などで子供たちが感染して流行が始まることも見られていましたが、12月に入ってからのコロナ感染は職場での感染が以前より見られている印象があります。

 

 では、日本国内での感染報告数はどのように変化しているのでしょうか。図1は国立感染症研究所のインフルエンザとコロナの報告数の推移です。

 

2023-24年にかけてのインフルエンザ

図1.2023年のインフルエンザとコロナの報告数

(国立感染症研究所HPより引用、一部改変)

 

 インフルエンザは、第52週の(定点当たりの)報告数は21.65となり、前週の報告数23.13よりも減少していました。これは、2023年9月以降インフルエンザは増加傾向にありましたが、12月下旬に学校等が冬期休暇に入ったことも影響したのかもしれません。インフルエンザA型の感染はピークアウトしたのか、それとも学校の3学期が始まると再増加するのかは、注意が必要です。

 

 例年、インフルエンザは11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え3月まで続きます。すなわち、2023-24シーズンについては、インフルエンザA型感染が9月から始まっており、例年より早い特別な年だったといえます。

 

 年末年始付近から、インフルエンザB型の感染が増えてきています。「インフルエンザ感染後にワクチン接種は必要か?」でご紹介した通り、2023年夏には南半球のオーストラリアでインフルエンザB型の感染を多く認めました。南半球における冬の時期(日本では夏の時期)の流行状況が、日本の冬のインフルエンザ蔓延状況に関連することが知られています。2024年に関しては、1月以降、インフルエンザB型の蔓延に日本でも注意が必要です。

 

2023-24年にかけてのコロナ

 図1をご覧いただくと、12月に入り新型コロナウイルスは増加傾向に転じていることがわかります。コロナの増加は、新しい変異株の蔓延が見られていることが関係しているかもしれません。図2をご覧ください。

 

図2.日本におけるコロナ変異株の報告数

(国立感染症研究所HPより引用、一部改変)

 

 JN.1株とHK.3株が増加していることが見てとれます。特にJN.1株はまだ増加する印象があり、注意が必要です。

 

 JN.1株、およびHK.3株に非常に近いHV.1株はどちらもアメリカでも増加していると報告されているもので、新たな感染拡大につながるのではないかとWHOも注目しています。図3は米国CDCの直近の変異株の推移です。

 

図3.アメリカでのコロナ変異株の割合の推移(米CDCのHPより引用、一部改変)

 

 ご覧のように、アメリカではコロナの変異株としてJN.1、HV.1が増加しています。HV.1はピークアウトしている印象ですが、JN.1は今後増加していくことが予測されています。

 

 図4をご覧いただくと、HV.1は日本で増加しているHK.3と非常に近い変異株であることがわかります。つまり、BA.2.86から派生したJN.1株、XBB系統に分類されるHV.1株とHK.3株と、日米ともに同系統の変異株が増加しているということになるわけです。以前の第〇波などと言われていた時期では、国ごとあるいは世界の地域ごとに蔓延する時期がずれていました。日本においては、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行してからは、海外での流行との時差がなくなってきているのかもしれません。

 

図4.コロナ変異株の系統樹(米CDCのHPより引用、一部改変)

 

 

 このようにインフルエンザやコロナ感染が増加しているのはヨーロッパも同様で、マスク着用を再度促す国も見られています。インフルエンザもコロナも主な感染経路は、咳、くしゃみ、会話等の飛沫感染です。飛沫感染対策として、咳エチケット、手洗い・手指消毒、換気などの徹底が重要です。感染流行期は、皆様も十分ご注意ください。

 

【最新の記事】

1シーズンに2回かかるインフルエンザとコロナJN.1株

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME