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2025-2026年のインフルエンザ流行予測

[2025.09.23]

1.2024年と2025年のオーストラリアにおけるインフルエンザの流行

2.2024年の日本のインフルエンザ報告数

3.2025-2026年シーズンの日本でのインフルエンザの流行予測

4.2025年9月の時点でインフルエンザによる学級閉鎖

 

 

1.2024年と2025年のオーストラリアにおけるインフルエンザの流行

 図1は2025年9月までのオーストラリアにおけるインフルエンザの感染状況を示しています。横軸は1年間の週数を示しており、一番左は1月、一番右は12月です。縦軸はインフルエンザの感染者数を示しています。

 

 日本での夏の時期は南半球であるオーストラリアにおける冬にあたるため、半年間ずれて似たようなインフルエンザの流行状況になります。半年前の南半球のインフルエンザの流行状況が日本でのインフルエンザの流行の予想の手助けとなります。オーストラリアの最新データを用い、2025年から2026年の日本におけるインフルエンザの流行を予測してみます。

 

図1.オーストラリアのインフルエンザ報告者数の推移

(Australian Government Department of Health and Aged CareのHPより引用、一部改変)

 

 2024年、2025年のオーストラリアでのインフルエンザの感染状況は、それぞれ水色、紺色で示されています。いずれの年も20週頃より増加が始まり、26~28週頃にピークを迎えています。さらに2025年は2022年や2024年よりもピークはやや低めであるものの、例年と比較すると比較的ピーク時の感染は拡大していると見てよいでしょう。さらに、2025年のピークを迎えた後は、比較的長期間感染者数が高止まりしていることがわかります。

 

2.2024年の日本のインフルエンザ報告数

 オーストラリアの感染状況を踏まえると、2025年から2026年にかけての日本国内の流行は、2024年の日本の流行に似ていることが推測されます。では、日本での2024年の感染状況はどうだったでしょうか。

 

 地方衛生研究所ネットワークで公開されております、2024年における東京・千葉・埼玉・神奈川の首都4都県におけるインフルエンザ報告者数を見てみます。年末年始は休診となっている医療機関もあるため、休診となる医療機関からの報告が減少し、診療を行っている医療機関に診察希望者が増加するという社会状況も加味して結果を解釈していくことになります。

 

図2.2024年における首都圏のインフルエンザ報告者数

(地方衛生研究所ネットワークのHPをもとに作成)

 

3.2025-2026年シーズンの日本でのインフルエンザの流行予測

 オーストラリアにおける2024年、2025年のインフルエンザの発生状況、日本の首都圏における2024年の蔓延状況をもとに、2025年秋から2026年春までのインフルエンザの流行を予測してみます。コロナ禍の行動制限でインフルエンザ感染が激減したように、社会政策や他の感染症の動向によっても変わりうるので、あくまで予測は参考程度にとどめてください。

 

Q.インフルエンザはいつ頃から流行しますか?

 2024年と同様と考えると、2025年は11月半ばころより増加しはじめることが予想されます。

Q.インフルエンザの流行のピークはいつ頃ですか?

 12月下旬がピークとなると考えられますが、現場実感としては2025年12月第1週から2026年1月第2週程度がピークと感じられるでしょう。ただし、2025年のオーストラリアではピークの期間が長期化している印象があり、2026年1月中下旬まで感染拡大が続くかもしれません。

Q.どのタイプが流行しますか?

 2024-2025年の日本では、11月~1月まではA型が、2~3月はB型が蔓延しました。ですので、年内にインフルエンザA型にかかり、年明けにB型にかかるという、1シーズンで2回インフルエンザに罹患する方が見られました。

 図3のように2025年のオーストラリアでは、5~19歳はB型の割合が際立っています。早い段階から若年層でのB型の割合が多いことを踏まえると、2025年-2026年の日本でもA型、B型の両方が流行すると思われます。

 

図3.オーストラリアにおける2025年のインフルエンザ流行株

(Australian Government Department of Health and Aged CareのHPより引用、一部改変)

 

4.2025年9月の時点でインフルエンザによる学級閉鎖

 2025年9月の時点で、早くもインフルエンザによる学級閉鎖が小中学校を中心に見られています。神奈川県川崎市、千葉県市川市から始まり、鹿児島県、福岡県、東京都、愛知県、三重県など全国各地で学級閉鎖が報告されています。

 当院でも9月に入り、大人の方でインフルエンザA型陽性が散見されています。上述では11月以降の感染拡大を記載しましたが、9-10月時点でも手洗いやうがい、状況に応じてのマスク着用などの感染対策をこまめに行うようにしましょう。

 

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【監修医】

本田 謙次郎(Kenjiro Honda)

市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医

 

略歴

2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修

2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科

2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学

2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業

2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教

2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任

その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任

 

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