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オミクロンワクチンの比較-ファイザーとモデルナ、BA.4/BA.5対応-

※ こちらはダイジェスト版(後半)です。記事全体をご覧になりたい場合は、「【コロナ】オミクロンワクチンの効果と副反応/副作用-ファイザー・モデルナとBA.1とBA.4/BA.5の比較-」をご覧ください。

 

4.オミクロンワクチン(BA.1対応とBA.4・BA.5対応)

5.ファイザー製ワクチンの副反応の比較

6.ファイザー製・モデルナ製のオミクロンワクチンの副反応の比較

 

 

4.オミクロンワクチン(BA.1対応とBA.4・BA.5対応)

 欧米各国ではマスク着用義務がなくなり、マスクなしでの海外の画像や映像をご覧になる機会が多かったとことと思います。ワクチンを接種する、あるいはこれまでに感染したことがあり既存株への抗体を持っている方の割合が増えることで、徐々にコロナ禍前の生活に戻す時期にあると各国政府が考えていると思ってよいでしょう。同じく変異の多いウイルスとしてインフルエンザウイルスがありますが、インフルエンザもワクチンで重症化を抑える方策をとっています。私はインフルエンザワクチンを打たないですとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、感染拡大が起きて社会を揺るがしうる場合にはワクチン導入や接種率向上の検討がこれまでもなされており、日本政府の例を挙げると、2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1)の際にもワクチンによる対応の検討がなされていました(参考:内閣官房のURL)。つまり、ワクチンを接種することで重症化を抑制し、急な感染拡大を抑えることを日本も各国も考えているということになります。

 海外渡航に際しては、PCR検査の陰性証明書提出が不要になる国が増える一方で、コロナワクチン接種証明書を求められる、ワクチン接種証明書があると追加検査が不要になることが増えてきました。旅行やお仕事で海外にいく可能性がある場合には、計画的にワクチン接種を済ませておく方が負担が少なくなるだろうと思われます。

 

表2.従来型コロナワクチンとオミクロンワクチンの違い

 

 オミクロン株対応ワクチンのうち、BA.1株対応ワクチンが本邦では2022年9月より接種が開始となりました。BA.1株対応ワクチンは、前回接種日より5カ月以上あけると接種が可能となっていますが、今後の感染状況などにより変更となる可能性があります。また、BA.4/5(BA.4/BA.5、BA.4-5とも書きます)株対応ワクチンも10月中旬に接種開始となります。

 

 

 BA.1対応ワクチンもBA.4/5対応ワクチンも2価ワクチンです。2価ワクチンとは2つの成分が含まれているということで、例えばBA.1対応ワクチンでは従来株に対する成分とBA.1株に対する成分の両方が含まれているということになります。これに対して、従来型のワクチンは従来株に対する成分のみなので、1価ワクチンと呼びます。

 このように複数株に対するワクチンは、インフルエンザウイルスに対する4価ワクチン、肺炎球菌に対する23価ワクチンまたは13価ワクチンなど、一般的に多く用いられているものです(参考:当院ブログ「2022年のインフルエンザ流行予測-大流行・コロナ同時流行はあるのか-」)。こうした他の病原菌・ウイルスに対する経験もあるため、抗体の誘導に伴う抗体価上昇を踏まえると、BA.1対応ワクチン、BA4/5対応ワクチンともに、有効性は従来型より増すだろうということが考えられています。

 

5.ファイザー製ワクチンの副反応の比較

 ファイザー製はBA.4/BA5対応ワクチンが接種可能となり、モデルナ製BA.4/BA5対応ワクチンも今後接種可能になる可能性が高いと考えられます。まず、ファイザー製ワクチンの副反応(ワクチンでは、薬でいう副作用のことを副反応といいます)について、表3では添付文書の比較をまとめています。

 

表3.ファイザー製ワクチンの副反応の比較(従来型・オミクロン対応)

 

 接種部位反応といわれる、接種部位の痛み(疼痛)、赤くなる変化(発赤)、腫れ(腫脹)については高頻度で見られるとみてよいでしょう。その他、頭痛やだるさ(疲労・倦怠感)、寒気(悪寒)、発熱、筋肉痛・関節痛というのはインフルエンザやコロナを発症したときの類似の症状であり、多くは数日以内で改善します。注意すべきはリンパ節の腫れ(※)であり、おそらくこの頻度は初回接種に関するものでしょう。3回目以上の接種になると、接種した側のワキ(脇/腋窩)、鎖骨の上(鎖骨上窩)、首(頚部)のリンパの腫れが見られる頻度が多くなります。詳細は、当院の診療案内の中の「3回目ワクチン接種の副反応-ワキの痛みと腫れ・脇のリンパ節腫脹-」や「痛くない首のしこり~リンパ腫の可能性も~」もご覧ください。BA.1対応やBA.4/5対応ワクチンの接種では、データを集めている段階で初回接種となっていない可能性が高く、リンパ節の腫れの頻度が増していることが考えられます。

 こうしたことを踏まえると、BA.1対応ワクチンやBA.4/5対応ワクチンでも副反応は従来の1価ワクチンと比較して概ね変わりないだろうと思われます。

 

図4.皮膚の発赤

 

6.ファイザー製・モデルナ製のオミクロンワクチンの副反応の比較

 現在、BA.1対応の2価ワクチンとして、ファイザー製、モデルナ製が公的接種が可能となっています。どっちのワクチンがよいのか、迷われている方も多いと思いますので、副反応の比較を表4でお示しします。

 疲労(だるさ・倦怠感)はファイザー製では10-50%となっていますが、添付文書では表3のように66.0%となっています。これは統計のとり方によるもので、ある時には50%以上だったが別の時期に統計をとると10-50%となったということでしょう。リンパ節症(リンパ節の腫れ、など)についても同様です。

 

表4.ファイザー製とモデルナ製の2価ワクチン副反応の比較(厚生労働省のHPより引用)

 

 現時点では概ね、従来型のワクチン接種時の副反応と大差はないとみてよいような結果です。もし最新情報があれば、そちらもチェックされるようにしてください。

 

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