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ファイザー製コロナワクチンの副反応の割合ー日本人のデーター

 新型コロナウイルスワクチンの接種が、日本では医療従事者からまずは開始されました。今後は、高齢者、基礎疾患を有する方、高齢者施設等で従事されている方の順に接種が予定されています。ワクチンの生産・供給状況に従って、接種状況・接種時期も変わっていくものと予想されます。

 

 1.ワクチン接種率の高い国はどこか

 2.ワクチン接種後の発熱の割合は意外と低い

 3.コロナワクチン接種翌日が痛みや腫れのピーク

 4.ワクチン接種翌日の頭痛やだるさは12~17%

 5.ワクチン接種後に鼻水??

 

 

 

ワクチン接種率の高い国はどこか

 接種率について国別にみていくと、日経新聞の5月3日に更新された報告では、接種率が高い国はイスラエル、UAE、チリ、英国、米国、シンガポール、カナダの順となっています。
 ここで注意すべき点は、国によって承認されているワクチンの種類は異なるということです。さらに言うならば、承認されたワクチンの中でどのワクチンをどの程度接種されているかという情報は、今後きわめて重要な情報になるでしょう。

 例えば、報道によりますと、チリで接種されているワクチンの90%が中国製のシノバックワクチンで、10%が米ファイザー製ワクチンとされています。一方、日本では、これまでファイザー社製のワクチン接種が行われ、モデルナ社製ワクチンも今後接種の計画が立てられています。すなわち、チリがワクチン接種後の感染状況がどういう推移をとっているか、変異株が蔓延した後には感染者数や死亡者数がどうなるのかというのは、日本の今後を予想する上では状況が少し異なるということを念頭に置いたほうがよいということになります。

 

 先日、本邦において、ファイザー社製ワクチン(商品名:コミナティ筋注)接種後の副反応が起こる確率/割合についての報告が出ました。コミナティは3週間あけて2回の接種を要するmRNAワクチンです。以降のデータはこちらの報告をわかりやすく解説していきます。この報告は接種対象者の中の看護師の割合が多いことを反映してか、男性:女性=1:2の割合になっています。すなわち、女性が多い集団での副反応を見れるわけですので、女性だからワクチンの副反応が起きやすいのではないかとご心配されている方には、大変参考になる報告です。

 

ワクチン接種後の発熱の割合は意外と低い

図1.コロナワクチン1回目接種後の発熱の割合

 

 37.5℃以上の発熱をみると、接種翌日が約2%でした。思ったよりも頻度が低いと思われるかもしれません。仮に37.0℃以上とすると、もう少し頻度が高くなることが予想されます。37.5℃以上というと、37℃代前半と違って発熱に気づかない可能性が低く、多くは発熱があるだろうと感じるレベルです。調子がおかしいと気づくレベルの発熱は2%未満であるという点では、発熱はそこまで多くないと言えるでしょう。
 中には普段の体温が低いので37℃前後であっても体調不良を感じるという方もいらっしゃるかもしれません。体調不良に関しては、発熱に加えて、だるさ(倦怠感)を感じている可能性もあります。すなわち、体温は一つの参考所見であると思っていただけるとよいかと思います。

 

コロナワクチン接種翌日が痛みや腫れのピーク

図2.コロナワクチン接種後の腫脹・痛みの割合

 

 図2の右のグラフをご覧ください。1回目ワクチン接種翌日には約7割の方が軽度の痛みを感じ、中等度以上の痛みも約2割の方が感じたという結果でした。これは、痛みは1回目から感じると思ってよいということを示しています。さらに1週間すると、ほぼ痛みはなくなっているという結果でした。一方、同じく注射部位の局所反応である腫れ(腫脹)も接種翌日がピークでした。腫れについては12%弱と痛み程ではないものの、頻度は比較的高いと考えられました。8名に1名は腫れるということですので、接種翌日の腫れはあってもおかしくはないという頻度です。

 

ワクチン接種翌日の頭痛やだるさは12~17%

図3.頭痛やだるさの頻度も比較的高い

 

 続いて、全身症状についてみていきます。図3にお示しするように、ワクチン接種翌日の頭痛やだるさは12~17%という結果でした。一般的に薬の副作用として1~5%程度見られるものはまずまず無視できない頻度で見られるものとして考えます。12~17%という頻度は、医師目線で言えば副反応としてはよく見られるということになるでしょう。もちろん、逆に言えば残りの8割以上の方は頭痛やだるさはないということになりますので、大半の方では見られない副反応とも言えます。

 

ワクチン接種後に鼻水??

図4.ワクチン接種後の鼻水の割合

 

 少し気になる結果があったので、ご紹介をします。ワクチン接種後に鼻水(鼻汁)が起こった割合も報告されていました。他のワクチンを思い起こしてみると、例えばインフルエンザウイルスのワクチン(皮下注射のもの)では、鼻水が起こるということはあまり想定されません。これは、ワクチン自体が鼻から投与されるものではなく、鼻水を出すことで異物を体に入れないようにしようとする生体の防御反応が起こらないと考えられるからです。実際に、ワクチンの副反応として一般的に見られるものでもありません。

 とはいえ、図4に示すように、接種翌日には約6%の方が鼻水があったと報告されています。これから考えられることは次の3つです。

 

 1)筋注ではあるが、鼻水の副反応は起き得る

 2)スギ花粉症の時期の報告なので、花粉症の症状を見ているだけで副反応ではない

 3)鼻水が起きるかもしれないと思うと一定の割合で起きるものだ

 

 

 1)は、素直に鼻水は他の副反応よりも頻度は低いものの起きると考える考え方です。一方、そうではないと考えるのが2)3)です。ちょうど花粉症の時期の調査であり、この症状を見ている、あるいは薬の相互作用などを気にするあまり、花粉症治療薬を接種日以降に内服しなかったなどから鼻炎症状が出たと考えるのが2)です。一方、3)は薬剤の比較試験いおけるプラセボ(対照)群としての位置づけで鼻水のデータを扱っているとするものです。例えば薬の有効性を見る臨床試験の場合、偽薬(実際の薬である実薬と異なり、見た目は実薬と区別はつかないけれども薬の効果はないもの)を投与された群でも、少し効果が見られることがあります。こうした群をプラセボ群(対照群)と呼び、実薬と偽薬を比較して初めて本当の有効性が確認されます。ファイザー社製ワクチンで見てみると、添付文書やインタビューフォームにも鼻閉が1%未満と副反応の記載がありますが、鼻汁は記載されていません。鼻水は副反応とは考えにくいが、この程度の頻度の副反応は気持ちの問題等で起こりうると考えるのが3)です。逆に、他の副反応の頻度をみる際、鼻水の頻度を越えて頻度が見られる場合には、確実に副反応と呼べるだろうということになります。

 

 

 

 上述の他にも、接種部位反応として、発赤・硬結・熱感・かゆみの頻度が報告されていました。発赤・硬結・熱感については、腫れの頻度と大差はなく、かゆみは鼻水より頻度が低かったため割愛いたしました。また、いつまで続くのかという点では、3日後には改善し始めており、1週間後にはほぼ改善していると考えてよいことも明らかとなりました。なお、アナフィラキシーや血栓症の報告はありませんでした。

 詳細をご覧になりたい方は、厚生労働省の新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)をご覧になってください。また、2回目接種後の副反応については報告はまだですが、副反応の頻度は1回目よりも概ね高くなることが予想されます。こうした状況も加味した上で、上述の結果をご参考になさってください。

 

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