痛風と尿路結石ー尿酸値が高いと起こる病気
1.尿酸とは何?
尿酸値が高いと起こる病気
3.痛風
4.尿路結石
尿酸(読み方:にょうさん、英語:uric acid)は、プリン体を摂取した後の代謝物です。食事やアルコールなどでプリン体を摂ると、体の中で尿酸に分解され作りかえられ、老廃物として尿より排泄されます。尿酸は、主には腎臓から排泄されますが、一部消化管からも排泄されます。
血液中の尿酸値が高い状態のことを高尿酸血症といいます。血液検査において尿酸値は、尿酸あるいはUA (Uric acid)と記載されます。
健診や人間ドックでは、尿酸値の正常値(正しくは、基準値や基準範囲といいます)は下記のように設定されています。
男性:3.7~7.0 mg/dL
女性:2.5~7.0 mg/dL
この数値は参考値であり、一般的な目安として使われます。重要なのは、尿酸値を7.0mg/dL以下に保つことです。
血液中の尿酸値は食事や飲酒によって変動します。普段から尿酸値が高めであると、高くなった時に痛風発作が出やすくなります。少しゆとりを持った管理が平和な日々を過ごすポイントになります。
痛風発作は尿酸が結晶化し足などの関節に溜まることで、熱を持って腫れる病気です。足の親指の付け根が典型的な腫れる部位ですが、他にも足首や膝などが腫れることもあります。風に当たっただけでも痛いと書いて痛風と読みますが、ちゃんと歩けないくらいの痛みが生じるのが一般的です。
尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱に結石ができる病気です。特に尿管という管に結石が詰まると、耐えられないくらいの痛みになることがあります。結石が詰まる場所によって、痛みの部位が背中だったり下腹部だったりかわってきます。詰まっていた場所から結石が移動すると、痛みが移動したり消えたりすることが特徴です。
また、高尿酸血症はメタボリック症候群や慢性腎臓病、高血圧、冠動脈疾患などとも関連すると言われています。
日常生活の中で、バランスの取れた食事や適度な運動を心がけることで、健康な体を維持し、尿酸値の上昇を防ぎましょう。
【監修医】
本田 謙次郎(Kenjiro Honda)
市川駅前本田内科クリニック院長/医学博士
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・厚生労働省認可 臨床研修指導医
略歴
2005 年 東京大学医学部卒、東京大学医学部附属病院・日赤医療センターで初期研修
2007 年 湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
2009 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)入学
2013 年 東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒業
2014 年 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
2020 年 市川駅前本田内科クリニック開院・院長就任
その他 宮内庁非常勤侍医、企業産業医等(日本銀行・明治安田生命・日鉄住金建材 ほか)歴任
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本記事は一般情報です。診断・治療は必ず医師の診察をお受けください。