メニュー

インフルエンザ感染後にワクチン接種は必要か?

[2023.11.19]

 「今年インフルエンザにかかったのですが、インフルエンザワクチンは接種したほうがよいですか?」

 

 今年はこのようなご質問をよくいただきます。今年は、それだけ早期からインフルエンザが蔓延しているということなのでしょう。

 

 インフルエンザの流行はその年によってさまざまなのですが、インフルエンザA型が流行した後にインフルエンザB型が流行する年があります。結論から言うと、2023-2024年シーズンはB型が流行する可能性が高い年ではないかと考えられます。すなわち、今年に関しては、インフルエンザの対策として「すでにインフルエンザにかかっていたとしてもインフルエンザワクチン接種を行う」ことを検討する方がよいでしょう。なぜ感染後なのにワクチン接種を検討したほうがよいのか、2023-2024年シーズンの感染状況の予測を含めて説明していきたいと思います。

 

 

1.インフルエンザの種類-A型とB型-

2.2023年のオーストラリアではインフルエンザB型が増加

3.2023年11月までは日本ではインフルエンザA型のみ

4.2023-24シーズンのインフルエンザワクチンとは

 

 

1.インフルエンザの種類-A型とB型-

 インフルエンザには、A型、B型、C型の3種類に分類されます。A型は変異しやすく、多くの変異株が存在し、感染力が強いことが特徴です。2023年9月以降、流行しているのもA型です。B型は、突然変異を起こしにくいため、A型よりも変異株が少ないことが特徴です。高齢者や乳幼児、持病のある方は重症化することがあり、注意が必要です。C型は感染しても軽症となることが多いため、インフルエンザの検査キットでもA型、B型のみ診断することが一般的です。

 

 日本におけるインフルエンザの感染状況は、南半球で冬の時期(日本で夏の時期)に流行した株が影響するとされています。2023年の日本では夏の時期に、南半球のオーストラリアでのインフルエンザの流行状況はどのようなものだったでしょうか。

 

 

2.2023年のオーストラリアではインフルエンザB型が増加

 表1はオーストラリアにおけるインフルエンザの検出結果を昨年、今年で比較したものです。データは、日本の厚生労働省にあたるオーストラリア政府(Australian Government Department of Health and Aged Care)のサイトから引用しています。2022年は、オーストラリアで検出されたインフルエンザはほぼA型でした。一方で2023年、オーストラリアでは冬の時期を含めて検出報告の4割近くがインフルエンザB型となっており、1年前と状況が全く異なることがわかります。

 

表1 オーストラリアにおける2022-23と2023-24シーズンのインフルエンザ検出株の比較

 

 インフルエンザB型の検出が多かった地域(全体の1/3以上であった地域)を図1で★マークで示します。オーストラリアの南東(図の黄緑色)はメルボルンのあるビクトリア州ですが、ここもインフルエンザB型が全体の1/4にのぼっています。つまり、2023年のオーストラリアにおいて、州人口の多い東側の地域では、B型の検出割合が昨年の100倍以上にのぼっていることがわかるわけです。

 

図1 2023年1-8月のオーストラリアでインフルエンザB型の検出が

多かった地域(★マーク:B型の検出が全体の1/3以上を占めた地域)

 

3.2023年11月までは日本ではインフルエンザA型のみ

 2023年の日本では、季節外れのインフルエンザの流行が9月から始まっています。季節外れというよりは、例年よりも早く始まったというほうが正しい表現かもしれません。図2は国立感染症研究所のデータを見やすく改変したものです。図2をご覧いただくと、9月以降に流行しているのはほぼA型であることがおわかりになるかと思います。これからB型が流行するかということについて断定的なことは言えないものの、オーストラリアの感染状況を踏まえると、今後B型の流行の山が日本で見られる可能性は低くないと言えるでしょう。特に1-2月頃の受験シーズンに流行が見られる可能性もあるので、受験生の皆様は十分ご注意いただきたいところです。

 

図2 2023年の日本でのインフルエンザの株別検出報告数

 

4.2023-24シーズンのインフルエンザワクチンとは

 2023-24シーズンのインフルエンザワクチンは、どのような株に対するワクチンが含まれているのでしょうか。表2をご覧ください。

 

表2 2023-24シーズンのインフルエンザワクチンの株

A/Victoria(ビクトリア) /4897/2022(IVR-238)(H1N1)pdm09
A/Darwin(ダーウィン) /9/2021 (SAN-010)(H3N2)
B/Phuket (プーケット) /3073/2013 (山形系統)
B/Austria(オーストリア) /1359417/2021(BVR-26)(ビクトリア系統)

 

  A型はH1N1、H3N2、B型は山形系統、ビクトリア系統の株に対するワクチンが製造されています。ちなみに、B型は2022-23シーズンと同じ株が選定されています。インフルエンザとしてとらえるだけでなく、A型、B型の違いも重要であることもご理解いただければと思います。

 

 

【データで見る今年のインフルエンザ】

インフルエンザ感染の現状とワクチンのご案内NEW

2023年10月での千葉県のインフルエンザ発生状況

2023年10月ー最新のインフルエンザの発生状況

千葉県でのインフルエンザとコロナ感染報告の比較(2023年)

2023年のインフルエンザの流行ー感染者数報告は9月に顕著に増加ー

 

【参考になる記事】

新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME